最速の月曜公開!全重賞の展望をお届けします
※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。 牡馬クラシック最終決戦の舞台は京都芝3000m。かつては秋の京都で嵐山Sという同条件の準オープン、オープン戦が行われていた時代もあったが、現在では3歳馬が事前にこの条件を走る機会はない。というよりも、JRAの競走馬が3000m以上の距離を走ること自体が稀なことだ。 コーナーを6度回る長距離戦で緩急のあるペースへの対応が必要とされるし、さらに京都競馬場独特の3コーナーからの上り下りにも対処しなければならない。走る側にとって菊花賞の難しさは、初経験となるさまざまな課題を一回のレース中に克服しなければならない、ということに集約される。変な言い方になるが、「なんとなく」走っていてはけっして勝ち負けできないレースである。 1.凡走からの巻き返しが困難 過去10年の菊花賞の連対馬20頭のうち、19頭は前走で3着以内に好走していた(例外は2008年2着のフローテーション)。さらに1着馬に関しては、最近6年間のうち5頭までが前走でも勝利していた。唯一の例外である2014年の勝ち馬トーホウジャッカルも、前走の神戸新聞杯で3着とはいえ勝ち馬とタイム差なしで走破している。 2.京都経験が有利に働く このレースは関東馬が不振である(昨年まで15連敗)ことで知られるが、その主要な原因として、クラシックが地元で行われる関東馬は輸送して京都を走る機会が少なく、菊花賞で超えるべきハードルが増えてしまっていることが挙げられる。2014年4番人気2着のサウンズオブアースは京都新聞杯2着、2012年7番人気3着のユウキソルジャーはそれまで京都で2戦2勝、2008年15番人気2着のフローテーションは萩Sの勝ち馬。たとえレベルが低いところであっても、京都での好走経験は大きな武器になる。 3.キャリアが浅い馬に注目 サトノダイヤモンド、キタサンブラック、トーホウジャッカル。これら近3年の勝ち馬は、デビュー時期こそ違うもののいずれも6戦のキャリアで菊花賞に臨んでいた。また、キタサンブラック、トーホウジャッカルはいずれも3歳になってからのデビューだった点でも共通している。2008年の勝ち馬オウケンブルースリも年明けデビューだったし、2010年の勝ち馬ビッグウィークはデビューこそ2歳時だったものの初勝利は3歳の7月になってから。キャリアの豊富さよりも近況の充実ぶりを重視すべきである、というデータ。 レイデオロ、スワーヴリチャード、アドミラブルというダービーの上位馬3頭が不在。さらにレイデオロは最重要ステップレースの神戸新聞杯の勝ち馬でもある。神戸新聞杯勝ち馬が不在の菊花賞は2008年以来で、その年は神戸新聞杯をクビ+1/2馬身差の3着に追い込んだオウケンブルースリが勝利している。 神戸新聞杯勝ち馬不在という状況ならば、今年はセントライト記念の勝ち馬ミッキースワローを中心に採りたい。年明けデビューでクラシック登録すらなかった身だが(追加登録料を払って出走)、それにもかかわらず春にはプリンシパルSや青葉賞ではなく「菊花賞を睨んで」京都新聞杯に出走。坂の下りで一気に動いてしまう若さを出しながら0.1秒差の5着に踏ん張った内容はインパクト充分だった。 前走のセントライト記念で並ぶ間もなく差し切ったアルアインは、皐月賞馬にしてダービーでも5着。アルアインが毎日杯で降したサトノアーサーが神戸新聞杯でも3着していることを思えば、今回のメンバーではすでに対戦比較で最上位になっていると考えても不自然ではない。あとはいかにレースで能力を出し切れるかにかかるが、状態面は絶好調に近いし京都競馬場も経験済みで、その面でも他馬に対してアドバンテージを持っている。 キセキは神戸新聞杯で最先着の2着。レイデオロには2馬身差の完敗だったものの、毎日杯で先着を許したサトノアーサーは逆転して春からの成長を示した。ただし、関西馬ながら京都が未経験である点と、祖母が快速馬ロンドンブリッジという血統面で、菊花賞の舞台には不安も残る。 アルアインは追い出しが遅れたダービーでも最後に脚を使って5着しており、距離延長に神経質になる必要はないだろう。ディープインパクト産駒ながらキレ味に秀でたタイプではなく、直線平坦の京都替わりで長く脚を使える利点を活かしたい。 サトノクロニクルはエンジンの掛かりが遅い難点があるので、じっくり構えられる条件に替わるのは好材料。過去4年で1勝2着2回と菊花賞を得意とする福永騎手への手替わりも魅力だ。ポポカテペトルはジリっぽいがしぶといタイプで、和田騎手騎乗なら前々の競馬での粘り込みが期待できる。 ダンビュライトは皐月賞で小差3着。勝ち味に遅く未だ1勝馬だが、自在性とバテない強みは評価できる。名手武豊騎手の手綱捌きに注目。サトノアーサーは世代屈指の決め脚の持ち主。神戸新聞杯は3着に終わったが、前目の位置で折り合って運べたのは収穫で、春から着実に進歩している。
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