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◎ルージュエヴァイユ

　3歳時から既に強かったが、当時はワンパンチ足りず重賞で結果が出なかった。その1つの要因として挙げられるのは、スタート後の二の脚の遅さだ。その影響もあり、6走前の愛知杯までの全てのレースで溜める競馬をさせられていた。だが、この馬は一瞬で脚の回転を上げられるタイプの馬ではない。東京での好走が多いためキレるイメージが先行しているかもしれないが、この馬は実は持続力タイプ。徐々に脚の回転を上げて図太い末脚を持続するのが魅力。馬体的にも背中と胴が長く、ハミを強めに噛んでいる馬。本当は上がりの掛かる競馬の方が良さが出るのではないかと思っている。実際、ラスト1Fが11.9秒以上掛かった時は、(2,2,0,0)とパーフェクト連対。東京ばかり走らせているが、中山や阪神の急坂コースでこその馬ではないのかと。そう考えると、東京専用機ではなく実は得意ではないコースで何度も好走していたのではないかという仮説が成り立つ。おそらく東京コースばかり使っている理由は、コーナーリングがあまり得意ではないからだろう。

　同馬は休養を挟んで臨んだ5走前から一気に成長したのではないかと思っている。5走前のメイSはスタート後の行きっぷりが段違いなのだ。時間のある方は、休養前の全てのレースのスタートから数秒だけでも良いから見比べてほしい。まるで別馬かと思ってしまうほどに二の脚が速くなっている。当初はたまたまかとも思ったが、続くエプソムCでもこの二の脚は健在だった。3走前の府中牝馬Sはスタート直後に他馬に寄られた影響で後方になっただけ。2走前のエリザベス女王杯ではかなり抑え込んで道中7番手なので、先行させようと思えばできただろう。前走の京都記念は馬場が悪かったし外枠にいた3頭がいずれも主張してきたので無理しなかっただけ。

　まだ勝ててはいないので覚醒したとまでは言えないが、この二の脚を見る限り成長したのは間違いない。後方待機一辺倒だった6走前までの成績はあまり気にしなくて良いだろう。

　その成長した姿を見せた5走前から振り返るが、メイSでは結果としては10着。ただ、道中は終始馬群の中で窮屈な競馬。最後の直線でも全く前が空かず、最後は他馬に寄られて狭くなり、1度も全力で追うことなくゴールしている。これは完全に度外視して良い。

　4走前のエプソムCもスタートは抜群で、道中は2番手追走。前傾ラップでラスト1Fは12.0秒という、私が同馬の得意レンジだと思っているレースとなったが、後方で脚を溜めていたジャスティンカフェに最後は交わされてしまった。得意レンジだとは言ったが、前半3F34秒台のレースを前目で追走するのは初めてだったこと、展開的には差し馬に向いた流れだったことを考えると、差されても仕方ないと思える内容だった。

　3走前の府中牝馬Sは前述したように、スタート直後に他馬に寄られて後方の位置取りとなってしまったが、かなりのスローペースで終始外々を回る競馬。それでも上がり3F32.7秒の末脚を繰り出し、勝ち馬とハナ差の2着。本質的に瞬発力タイプではないことを考えても、同馬が圧倒的に強い競馬をしている。

　2走前のエリザベス女王杯はラスト5Fが

12.7-11.8-11.6-11.5-12.0という瞬発力が問われたレース。最後の1Fで若干失速して持続力も問われたおかげで2着に好走。もう少し前半から流れていたら1着まであった内容だった。

　前走の京都記念はタフな馬場で行われたのだが、スローの前残りで見せ場なく8着。この敗戦をどう捉えるかは同馬をどういうタイプだと思っているのかによってかなり意見は分かれるだろう。私としては、同馬は瞬発力タイプではないと思っているので、この敗戦はかなり納得できている。馬体も太め残りに見えたし、この敗戦だけで見限るには早すぎるだろう。

　例年の大阪杯は中盤で緩みやすいので前残りが定番なのだが、ラスト1Fは坂の影響もあって失速することが多い。平均ラップを見てもそれは明らかであり、持続力タイプの差し馬が突っ込んでくるレースでもある。つまり、例年通りラスト1Fで失速するようなレースになれば、同馬の持続力が活きてくるだろう。

　今回は先行馬が割りと揃っているので、同馬は前には行かないだろうが、それなりにペースは流れそう。コーナーリングがあまり上手ではないので、内回り戦で外目の枠はむしろプラス。休み明けを叩いて馬体も絞ってくるだろうし、上積みも大きい。前走の敗戦でここまで人気を落としているなら絶好の狙い目と言えるだろう。同馬の持続力を存分に活かせるレースになることを期待する。