netkeiba

　これまでG1勝ちがなかった馬が優勝するケースが多い宝塚記念は、悲願成就の舞台になることも多いもの。過去10年を見ても、2010年ナカヤマフェスタ、2011年アーネストリー、2015年ラブリーデイ、2018年ミッキーロケットの4頭がGI制覇を達成しています。2017年の覇者サトノクラウンも、2016年香港ヴァーズは優勝したものの国内GIはこのレースが初制覇でした。

　宝塚記念でこのような現象が起こる理由は次の3つ。
　1.梅雨期に行われるため、力のいる馬場で行われることが多い。
　2.阪神芝2200ｍは外回り4角奥からのスタートとなり、前半が下り坂。1角までの距離が長く、前半ペースが速くなりやすい。
　3.阪神はラスト1Fで急坂があり、大きく減速する。

　ようは、速い上がり（瞬発力）が求められないため、高速馬場の東京や京都でじりじりのタイプでも通用するのです。現在、阪神は雨が降っているものの、開催が始まるまでに止む模様。時計の掛かる良馬場で行われる可能性が高いと見ています。

　今年はコロナ禍の影響もあって、ドバイなどの海外G1に出走予定だった馬が国内G1に矛先を向けたため、宝塚記念に出走するG1馬は8頭と豪華メンバーに。となると、実績馬が優勢と考える人も多いでしょう。しかし、どのG1勝ちの実績馬も一長一旦あり、今年の宝塚記念も「悲願成就G1」になる可能性も十分。私はそのパターンも視野に入れて予想を組み立てます。

　◎は、距離が延びて指数を上昇させた4歳馬モズベッロを推します。最近の長距離路線は侮られがちですが、この馬が経由した日経新春杯と日経賞は、ハイレベルでした。前走の天皇賞(春)は、休養明けで好走した後の一戦。手応えも悪く、鞍上は無理をさせていません。前記したように、速い上がりが求められない宝塚記念は、時計が掛かるほど長距離適性が問われるもの。この馬の成長力も加味して、今回の本命。

　○は、一昨年の有馬記念でグローリーヴェイズ、キセキに次ぐPP指数の最高値3位を記録した(18)ブラストワンピース。2019年宝塚記念を制したリスグラシューが有馬記念も制しているように、中山芝2500ｍの有馬記念はステイヤー適性を問われるレース。それだけに、宝塚記念への適性は◎。近走はやや物足りないものがありますが、休養明けでかなり時計を要した前々走ＡＪＣＣで及第点の指数。

　前走の大阪杯は前半5F60秒4-後半5F58秒0のどスローで速い上がりが求められた、ブラストワンピースが苦手とするレース。7着完敗でも仕方のないレースだっただけに、今回での巻き返しが期待できるでしょう。この馬は時計の掛かる馬場になるほど有力で、◎モズベッロの一番の逆転候補かもしれません。

　▲は、どんどん地力を強化し、長い距離にも対応できるようになった(16)クロノジェネシス。ぶっつけ本番の秋華賞を完勝したことにも驚きましたが、それ以上に再度の休養明けでタフな馬場となった京都記念で直線序盤から先頭に立って押し切った内容と指数にも驚きました。まだ4歳馬なので上昇力もあるでしょう。もう少し成長すれば、ここでも勝ち負けできるレベルの存在だけに、重い印を打ちました。

　以下特注馬として、素質が高く休養明けで4戦4勝と鉄砲駆けするタイプの(5)サートゥルナーリア。この馬は昨年の神戸新聞杯で圧勝、昨年の有馬記念でも2着の実績があります。ただ、この馬はホープフルＳ以降の勝ちパターンが全て後半型の競馬で、メンバー最速の上がりをマークしているように、瞬発力を生かしてこその馬。勝ちに行く前半型の競馬をした昨秋の天皇賞(秋)で5着に敗れたように、時計の掛かる馬場＆タフな流れは合いません。この馬にとってローテーションは◎でも適性は×。1番人気を裏切っても、不思議ありません。

　△に3歳時にマイルＣＳを制し、一昨年のマイルＣＳでも2着に好走しているののの、PP最高値は一昨年の大阪杯と実は中距離向きの(2)ペルシアンナイト。ステイヤー適性も求められる宝塚記念はやや距離が長いものの、ロスなく立ち回れる内枠は理想的。馬場の内が極端に悪化していた場合には苦しい感がありますが、この馬が連対すれば特大万馬券となるだけに、ここは買い目に加えたいところです。

　あとは、一昨年の天皇賞(春)でフィエールマンと大接戦を演じ、のちに香港ヴァーズを制した(3)グローリーヴェイズ。2016年の香港ヴァーズの覇者サトノクラウンや2018年の2着馬リスグラシューのように、香港ヴァーズはここへ繋がることが多く、PP指数の最高値1位(一昨年の天皇賞(春)・1着時)のグローリーヴェイズは、ここでもっとも強い馬。本来の能力を出し切れば間違いなく「1着」でしょう。

　しかし、この馬はドバイ出走が叶わずにぶっつけ本番、それも6ヵ月半の長期休養で挑むことになった点がネック。実際に過去10年、3月の大阪杯以降に出走していなかった馬は全て馬券対象外となっているだけに、割引ました。

　他では、重馬場でややハイペースとなった前々走・ジャパンＣで3着の(7)ワグネリアン。この馬は昨年の大阪杯や天皇賞(秋)でも善戦しているように、高速馬場でもスローペースでも対応できる万能型ですが、そのぶん、ワンパンチ不足でほとんど善戦止まりの現状。今回も掲示板は入りは果たす可能性が高いと見ていますが、連対圏内突入まではどうでしょうか。

　さらにアーモンドアイの同期のため、3歳クラシックでは苦戦しましたが、古馬になってめきめき地力をつけて、前走・大阪杯を制した(11)ラッキーライラック。この馬も下級条件や牝馬が相手ではしぶとい面を見せてはいますが、一線級に入れば瞬発力寄り。前走も先行策からN.2の上がり3Fで優勝しています。特注馬サートゥルナーリア同様、時計の掛かる馬場＆タフな流れでは割引が必要でしょう。

　最後にワールドレコード決着となった一昨年のジャパンＣでPP指数の最高値2位をマークした(14)キセキ。この馬は遡れば、極悪馬場の菊花賞馬であり昨年の宝塚記念でも2着。案外と時計の掛かる馬場やタフな流れに対応できるタイプ。前走・天皇賞(春)では、課題のスタートが修正されており、一発あっても不思議ありません。
　
　しかし、宝塚記念は逃げ馬受難。過去10年で2着、3着こそありますが、逃げあるいは早め先頭から勝ち負けになるかと聞かれると、疑問もあります。昨年の宝塚記念は逃げて2着に粘ったものの、勝ち馬リスグラシューには3馬身も引き離されており、そこが難点ではありますが、今回は内のダンビュライトに行かせて2番手というパターンも考えらええるだけに、過剰人気ではありますが警戒します。


　★★★★★★★★★★
　Twitterもよろしく！
　@_yamazaki_erika
　★★★★★★★★★★