アルテヴェローチェ。
初めて買う馬。
モーリス産駒の、牡馬。
良駒だろう。
中京開催のシンザン記念に出てくればと思い、待っていた。モーリス産駒を買うのが、だんだん嫌になってきていて、様子見をしていた。約半年買っていない。
問題となるのは、2点。「引っかかるけど、切れ味がない」こと。もうひとつ「ロベルト系特有の”エピファタイマー”(旬の固め打ちが過ぎるといきなり萎む)みたいな現象」が、実はこちらにもあること。これがモーリス産駒全般にある「テーマ」。
ブレイクした馬たちは、展開がドハマりした場合以外は”重馬場がキッカケ”になったり、他では、芝が荒れてきた中山、芝が荒れてきた中京、このあたりと”フィット”している。
しかし、なかなか素質馬がG1まではいけない。こういう全体像のイメージ。昨年の朝日杯FSが、ミュージアムマイル(2着)の単複を買いながら見ていたが、勝ったのがアドマイヤズーム、負けてしまったのがアルテヴェローチェということで「モーリス産駒の勝ちも負けも目立ってしまう結果」だった。
”モーリス産駒の場合、繁殖牝馬の質がよく、産駒数もおり、いかんせん大きな舞台に数がたくさん出ているのだから、こうなるのは仕方がない。”
では、あの朝日杯FSはモーリス向きだったのか。これは「あまり、そうは思わない」。アドマイヤズームが上手にレースをして勢いと展開もハマったが、他のモーリス産駒は大変そうだった。京都の馬場も荒れてきていたが、それでも京都は基本的に「差し比べ」で、なかなかモーリス向きにはならない。
その大変な中でも、アルテヴェローチェは一定の実力は示した。馬の実力が、G1では厳しかったのだと思う。それでも体重が増えて成長も見えた上に、後方からの組みでは一番、末脚を使えてもいた。あとは、フィットする場所で戦えるかどうか。
中京は、2週間休んで先週開幕したが、パンパンの良馬場には戻り切らなかった様子。そこに月曜日は雨があり、その中でレースも行った。今週末は雨はなさそうだが、適度に荒れている馬場だと思う。G3なら。この馬でフィットしそうに思う。
エビデンス・過去の似ている事例としては、2008年、朝日杯FS(4着)からシンザン記念を勝ったドリームシグナル。これに似ている。アグネスデジタル産駒で、本番のクラシックにはあまり関係ない馬だった点も同じだ。
バスラットレオン。2021年朝日杯(4着)から、今回と同じ中京で行われたシンザン記念で3着。パターンとしてはこれにも似ている。感覚は詰まっていても、このローテーションは的を射たものである。
鞍上は、川田騎手。
ちょっと引っ掛かる馬だが、なんとか好位でなだめて乗ってもらいたい。中京は全体的に、やや芝が荒れている雰囲気。それなら、ある程度、内目を通ってしまってもかまわない。馬群は大丈夫なはず。今回、そういう競馬を試してもいいと思う。好位から弾ける。そのイメージで、力の入った騎乗がほしい。
相手を少し、見渡してみる。
今の中京がモーリスにフィット。もし、それが正しかった場合は、同じモーリス産駒も浮上する可能性が出てくる。そう、タイセイカレントだ。この馬の、長く伸びてくる末脚をマークしたい。
<本島修司の競馬分析ワード>
【馬単位】:2008年に本島が発案した概念。一般的な「このレース、どの馬が来るか」ではなく「この馬、どのレースなら来るか」という見方に切り替えること。馬1頭と真摯に向き合うための概念。
【良駒】:その種牡馬の「産駒らしさ」が濃く出ている馬。『信頼性』が見込め、『ポテンシャルの高さ』を測る目安のひとつにもなる。
【エビデンス】:本来は「根拠」という意味の言葉だが、似ているパターンや、似ている状況で「必然の好走が出来た過去の事例がある」という意味で使用している。
公開日時:2025/01/11 18:20