圧倒的な強さで、同世代だけでなく古馬陣をも飲み込み、競馬界を席巻している3歳牝馬エネイブル。完全な一強ムードに対するは、昨年上位3頭を独占した名伯楽A.オブライエンが送り出すエネイブル包囲網。同年に同厩舎から5頭の出走は2000年以降では最多。どこかの国の選挙戦のごとく、まさに総力戦で一強降ろしに動いてきた。
地元フランスからは7頭。今年の二冠馬に、凱旋門賞馬を母に持つ超良血と、こちらも多士済済。
そして我らが日本からサトノの2騎。前哨戦の負けから評価を落としているが、侮ることなかれ。日本の意地を見せて欲しい。
とはいえ、予想となると話は別。日本馬を応援しつつ、しっかりと当てていきたい。
すでにご存知のデータだが、牝馬は強い。確かに強い。ここ10年で6勝、6年に絞ると5勝と、勝ち馬は牝馬から探したほうがいいとまで思えてしまう。そこにきてエネイブルの存在。これは結局一強でしょうと決め打ちしたくなる。
だが、心配なデータもある。凱旋門賞95回の歴史の中で、イギリス馬は13勝を挙げているが、牝馬の優勝は0。記憶に新しいところだと、2014年の一番人気に推されたタグルーダ。エネイブルと同じく、英オークスを制し、ヨークシャーオークスをステップに臨んだが、結果は3着。イギリス国内では圧倒的でも、同じヨーロッパとはいえ、そこはアウェー。エネイブルにも同じことが言える。
そのことを踏まえた上で、結論はこうした。
◎クロスオブスターズ
◯エネイブル
▲チンギスシークレット
△セブンスヘブン
△ブラムト
△オーダーオブセントジョージ
注サトノダイヤモンド
◎クロスオブスターズは、12戦して馬券圏内を外したのは一回のみ。それがイギリスに遠征した英ダービー。他は国内で走り続けているわけだが、国内ではすべて馬券に絡んでいることになる。まだG1は1勝のみだが、今回出走しているザラックやシルバーウェーヴに勝ったガネー賞の内容や、地元フランス馬であることの有利さ、休み明けのフォワ賞2着からの上昇を見込んで本命とした。
◯エネイブルに関しては上述の通り。正直、圧倒的に強いのは間違いない。ただ、イギリスの牝馬が勝ったことはないという能力とは関係ない理由で、対抗としている。結果的に圧勝であれば、そんなデータは関係ない歴史的名馬だったと頭を下げたい。
▲チンギスシークレットは、とにかく重馬場はよく走る。当日の天気は雨予報と聞いているので、この馬向きの馬場になろうかと思う。クロスオブスターズを本命にした以上、フォワ賞で先着しているこの馬の評価も高くしたい。
△セブンスヘブンは、昨年のヨークシャーオークスでファウンドを負かしており、今年のドバイシーマクラシックでもポストポンドやハイランドリールに先着。重い馬場もこなせる上に、前走謎の最下位で人気もないことが予想されるので、敢えて狙いたい一頭。
△ブラムトは今年のフランス二冠馬。末脚はおそらくメンバー中No.1。重馬場でも追い込めることから、当日の天気が悪くても問題はないだろう。前走は出遅れ+休み明けということもあって、見せ場無しだったが、巻き返しは必至と捉えている。
△オーダーオブセントジョージ、3歳4歳が圧倒的に強い凱旋門賞にあって、本馬は5歳ではあるが、とにかく長距離戦にめっぽう強い。昨年の凱旋門賞3着を除けば、2400m以上は全連対。こちらも重馬場得意なので、もう一回馬券圏内への食い込みはあると見る。
注サトノダイヤモンド。正直、前哨戦の内容だと厳しそうだと感じている。ただ、そこは海外遠征に長けた池江調教師なので、確実に上昇カーブを描いてくるだろう。期待を込めて一票を投じる。
公開日時:2017/09/29 15:43