ホープフルSは特殊条件ゆえ牝系にバイアスがかからず、コントレイルやタイムフライヤー、ジャンダルムのような米国要素の強い配合の競走馬も、サートゥルナーリアやヴェルトライゼンデのような欧州色を強める配合の競走馬も、一様に好走します。もともとは「中山の最終直線で垂れない配合」が強い血統がそのまま好走するレースだったので、種牡馬で言えばステイゴールド、単体血統でいえばロベルトを持つメンバーの相性が良いレースでした。たとえばエアアンセムやサトノネプチューンはシンボリクリスエス産駒ですし、レイデオロは母父がシンボリクリスエス。ステイフーリッシュなどは特にわかりやすい配合で、父がステイゴールドで、牝系にロベルトを抱えています。昨年の2着馬オーソクレースはエピファネイア産駒なので、あれもシンボリクリスエスのカテゴリに入りますね。
ようは明確に馬群を引いてくれる先行馬がいれば自ずとペースが上がるため、それにしたがって米国血統が台頭してくるわけですね。コントレイルの年はパンサラッサが逃げていましたし。そして、G1昇格後にメンバーが揃うようになり、中間ラップが緩まなくなったことで米国血統が台頭してくるようになったんだろうな……という私見です。というわけで今年はガチガチの米国血統馬を本命として、相手に中庸的な配合の2頭を添えることにしました。
ということで本命馬はキラーアビリティ、対抗がアケルナルスター、そして3頭目にサトノヘリオスという狙い目になりました。
キラーアビリティは米国G1馬キラーグレイシスの仔。母父はアメリカで活躍したコンガリー。ポイントギヴンやモナーコスの同期です。戦っていた相手がポイントギヴンだったりメダグリアドーロだったりアルデバランⅡだったりと強豪揃いで、実績充分な善戦馬……という印象があったのですが、この馬ってブラッシンググルームの直系なんですよね。欧州型ナスルーラにインリアリティやノーザンダンサーを当て込んで消耗戦に適合させた配合で、加えてキラーアビリティに目を向けると母キラーグレイシスの母父がオールドトリエステ(シニスターミニスターの父)。つまり「欧州型ナスルーラと米国型ナスルーラのハイブリッド」みたいな配合をしているわけです。ここに繁殖牝馬の質をそのまま表出させるディープインパクトが付いているわけで、小倉で見せた破壊的なレコードタイムにも納得ができます。
アケルナルスターはバークレアの一族。これだけで「ディープインパクトと同じ一族だ」となるわけなんですけど、インヴァイトを経由しているということはウインクリューガーの近親にあたるわけですね。というか、インヴァイトのファミリーラインにタイキシャトルがくっついてるから実質ウインクリューガーなんですけどね……。父はトーセンラー。トーセンラーはスピルバーグとの全兄弟という部分はかなり認知されているでしょうが、種牡馬フラワーアレーの弟でもあります。米国要素はかなり強め。この時点でアケルナルスターはヘイロー4×4、ミスプロ4×4、ノーザンダンサーの5×5、バークレアの牝系クロスが4×4。ここにトーセンラーが持つリファールのクロスが乗っかってくるエグ配合を備えていることになるわけですが、暮れの中山には特にリファールが効くのでは?という憶測も持っているため、この馬の単複も握ることにしました。
サトノヘリオスはエピファネイア産駒。上述したホープフルS勝ち馬エアアンセムの4分の3弟にあたります。アイドリームドアドリームの一族出身なので、エアシャカールやエアシェイディ、エアメサイアなどの名馬が近親に並びます。非根幹距離のデビュー戦で伸びを欠き、その後根幹距離で連続2歳レコードを記録しているところにそこはかとない「エピファネイア産駒」感がありますね。
単複ワイドをうまいこと振り分けつつ、今年を締め括りたいと思います。よいお年を。
公開日時:2021/12/27 19:41