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最速の月曜公開!全重賞の展望をお届けします

10月1日 中山11R スプリンターズS(G1)

netkeibaデスクの見解

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

 短距離GIは、春は高松宮記念で、秋はスプリンターズS。双方とも春秋のGIシリーズの幕開けという日程に位置しているが、顕著な違いがひとつある。それが、サマースプリントシリーズの存在。GIに手が届きそうにないクラスは、サマースプリントシリーズに全力投球する傾向が近年強まっている。

 その影響で、秋本番を前に余力を使い果たして、スプリンターズSを欠席する馬が少なくない。つまり、数少ない短距離GIでありながら、高松宮記念ほどのオールスターキャストにはなりにくくなっている。そして、そのことがレースの展開面にも少なからず影響を与えている。

 ランキング中位の「一発狙う馬たち」の層が手薄になるため、上下差のあるメンバー構成になり、どうしてもペースは緩みがちだ。一昨年は前半3Fより後半3Fの方がレースラップが速いという「上がり勝負」になり、昨年も前半3Fの方が速かったものの、差は0.8秒だった。スプリントGIとしては寂しいことだが、「バテる馬が少ない終いの瞬発力勝負」が、このレースでは当たり前になりつつある。

1.上がり33秒台のキレ味が必要

 昨年の勝ち馬レッドファルクスがマークした上がり3Fは推定33.5秒で、一昨年のストレイトガールは33.1秒。新潟開催だった2014年を挟んで、その前の2年間を連覇したロードカナロアの上がりが33.8秒と33.4秒。3F33秒台前半で上がって来られるようなキレ味がないと、勝ち切るのが難しくなっている。

2.距離に融通が利く馬が有利

 前述の3頭のうち、レッドファルクスは前走CBC賞で1200m重賞に初挑戦する以前は、芝ダート問わず1400mを主戦場にしていた馬だし、ストレイトガールはヴィクトリアマイルの勝ち馬で、ロードカナロアも安田記念を勝った。いずれも、より長い距離に対応できるだけの「適性面のゆとり」があったことに注意したい。ここが、スプリント性能が厳しく問われる高松宮記念とは違う、スプリンターズSならではの「味付け」になる。

3.セントウルSステップは難しい

 昨年のこのレースで、セントウルSを完勝したビッグアーサーが断然人気を裏切ったのは記憶に新しい。もちろん、直線で行き場をなくす不利が響いての敗戦だったが、セントウルSとスプリンターズSは連勝できないというジンクスは継続してしまった。阪神と中山ではコース特性が違うし、中2週という詰まったレース間隔では仕上げの面でも難しさがつきまとう。セントウルS組では、試走と割り切って負けてきた馬が狙い目になる。

 日本の競走馬生産においては短距離路線は傍流になるので、ロードカナロアのような絶対的な存在がいる年のほうがむしろ例外的だ。今年のスプリンターズSの出走表を見ても、確たる主役不在の混戦模様になっている。しかしながら、「瞬発力」と「距離適性のゆとり」というフィルターでスクリーニングするならば、「レッドファルクスが断然」という評価になる。

 去年の勝ち馬だから当然とも言えるが、それ以降に1400mの京王杯SCを58kgで完勝して、安田記念でも小差3着。この一年で着実にスケールアップしている。高松宮記念を1番人気で3着に敗れたことで評価がぶれている面があるが、ことスプリンターズSを戦うためには昨年以上に盤石な態勢が整っていると考えていい。

 今回は安田記念以来の久々になるが、昨年もCBC賞から3か月間隔が開いていたし、管理する尾関知人調教師は同様の安田記念以来のローテーションで一昨年にはサクラゴスペルで2着(11番人気)した実績もある。予定の行動でもあり、評価を下げる必要はない。

 ビッグアーサーは昨年の高松宮記念の勝ち馬だが、それよりも前述のスプリンターズS大敗の印象が強烈かもしれない。この中間順調さを欠いたため、昨年暮れ以来の休み明けとなり、今走で絶好調までは望むべくもない。また、昨年の当レースが示すように、器用さが要求される中山コースも歓迎とはいかないだろう。

 だが、昨年はその先の海外遠征を展望したため、勝ち方にこだわって不必要に面倒な競馬をしてしまったがゆえの敗戦でもあった。徹底先行型がいない今回の相手ならば、気分よく逃げてしまえば良いのではないか、と思う。気持ちで走るタイプで大型馬ながら休み明けは得意(2か月半以上の久々は香港遠征以外3戦3勝)だし、人気が軽くなる今回は自由な競馬が許される立場だ。福永祐一騎手ともども、昨年のリベンジに期待したい。

 レッツゴードンキは昨年こそ9着に終わったが、スタート直後に挟まれた影響を受けて位置取りを下げての悔しい結果だった。それ以降、京都牝馬Sを勝って高松宮記念でも2着。この馬もまた、この一年間で着実に競走馬としてレベルアップしている。ヴィクトリアマイルは1000m通過が60.1秒という遅い流れで、前に馬を置けずに折り合いを欠いてのもの。スプリンターズSの出走馬として見る場合、評価を落とす必要はまったくない。

 セイウンコウセイは高松宮記念の勝ち馬。2012年のコース改装以降、高松宮記念を勝った馬のその年のスプリンターズSでも成績は、[2・1・12・不出走・12]。連対を果たした2頭はカレンチャンとロードカナロアで、いずれもその前年のスプリンターズSの勝者でもあった。高松宮記念とスプリンターズSの両方を好走するには、能力面で大きく優越している必要があり、セイウンコウセイがその域まで達しているかどうか、という判断になる。

 シュウジは近走スランプが続いているが、その原因が喉の疾患によるものだったことが判明した。原因が判明したからと言ってすぐに結果が出るとは限らないが、不必要な迷いから開放されて正しい対処がなされることで、足踏み続きから脱出できることは確かだろう。素質馬の復権に期待したい。

 セントウルS組では、勝ち負けした組よりも叩き台と割り切った競馬で3着したダンスディレクターに注目。スタートの不安が影を潜めており、近走は安定感を増した。4着のメラグラーナは中山芝1200mでは3戦3勝のコース巧者だが、いずれも勝ち時計は1分8秒台で、時計勝負には不安がある。

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