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10月29日 東京11R 天皇賞(秋)(G1)

netkeibaデスクの見解

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

 長距離路線の衰退に伴って、春の天皇賞の権威の低下が懸念されているが、秋の天皇賞についても同じことが言える。ジャパンカップ、有馬記念が1着賞金3億円であるのに対して、天皇賞は1億5000万円。JC、有馬記念を本気で獲りに行く馬たちには、天皇賞は「叩き台」として利用される傾向が顕著である。

 近年の勝ち馬を見ると、昨年のモーリスと2013年のジャスタウェイはマイラーだったし、2014年のスピルバーグも生涯での勝鞍はすべて2000m以下だった。一昨年のラブリーデイは京都大賞典からのステップでここを勝利したが、JC3着、有馬記念5着と尻すぼみ。距離面の問題などから、先の大レースよりもここに全力投球した馬たちに栄冠が輝いていることに注目したい。

1.先行で押し切るのは至難の業

 過去10年間、逃げた馬の成績は[0-1-0-9]と全敗。4コーナー3番手以内まで広げても[0-3-1-31]と不振だ。馬券圏内に好走しているのは、イスラボニータ(2014年)、ジェンティルドンナ(2013、14年)、ダイワスカーレット(2008年)という実力馬だけで、力のある先行馬がやっと2、3着、というのが秋の天皇賞の傾向。

2.数少ない58kgレース

 天皇賞では、古馬牡馬は馬齢重量58kgを背負う。宝塚記念、安田記念とともに、いまでは数少ない58kgレースになっている。58kgを背負っての実績が重要なポイントとなるのはもちろんだが、56kg以下で出走できる3歳馬や牝馬が好走しやすい原因のひとつにもなっている。過去10年で斤量58kgの馬の連対率が8.7%であるのに対して、56kg以下の馬は29.2%。

3.毎日王冠は負けるが勝ち

 過去10年で毎日王冠の勝ち馬が秋の天皇賞に出走したことは8回あるが、連勝したのは2009年のカンパニーただ一頭。人気以上の着順に走ったのもカンパニーだけで、トータル成績[1-1-1-5]と不振である。2012年は毎日王冠で9着に敗れたエイシンフラッシュが天皇賞を勝利して、一昨年は毎日王冠7着のステファノスが天皇賞2着。中2週と間隔が詰まっていて連続好走が難しいローテーションでもあり、むしろ負けた組の巻き返しに妙味がある。

 春の王者キタサンブラック、サトノクラウンはここが休み明け。毎日王冠を勝ったリアルスティールは当初アメリカ遠征との両睨みだったため鞍上の確保が遅れたし、2着のサトノアラジンも距離延長には不安が残る。すべての有力馬が一点の不安もなく天皇賞に向かう、という構図になっていないところが、今年の難しさである。

 ここが勝負の馬はどれか、という観点から、毎日王冠を1番人気で8着に凡走したソウルスターリングを見直したい。毎日王冠は3F32秒台の末脚が要求される流れでこの馬には不向きだったし、初めて逃げる形の競馬になって集中力が途切れた面もあった。天皇賞であそこまで上がりが速くなることは想定しづらいし、目標になる馬もいて競馬はしやすくなる。

 藤沢和雄調教師は、これまで毎日王冠3勝に対して秋の天皇賞では5勝。3歳牝馬では、秋華賞で4着に敗れたダンスインザムードを中1週で天皇賞に挑ませて2着した実績もある。秋の天皇賞5勝のうち、前走も勝っていたのは神戸新聞杯から挑んだシンボリクリスエスだけで、残りの4頭はいずれも前哨戦で星を落としていた。秋の天皇賞の勝ち方を熟知した名調教師の、本番に向けての修正の妙技に期待したい。

 キタサンブラックは気性が勝ったタイプで、これまで休み明けでは4戦3勝2着1回と久々を苦にしない。2000m以下でも皐月賞の3着をのぞけばオール連対と安定感は抜群。問題は、府中の長い直線を凌げるかどうかの一点にかかる。サトノアラジンは毎日王冠をクビ差2着に敗れたが、勝ち馬より1kg背負っていたことを思えば負けてなお強しという内容だった。58kgに慣れている点も強調できる。

 毎日王冠の勝ち馬リアルスティールは昨年の2着馬でもあるが、厳密には芝1800mがベスト。前走で仕上がっていたことに加え、手が合うミルコ・デムーロ騎手が乗れないことも不安材料だ。サトノクラウンは前2年の当レースを大敗しているように芝2000mはやや距離不足。ただし、この1年間で大きく力をつけているし、本来東京コースも悪くない。

 ステファノスは昨年の当レースで3着、一昨年が2着。春の大阪杯でも2着しているように、前哨戦で負けても本番で上位に食い込んでくるタイプであり、軽視は禁物だ。マカヒキの毎日王冠6着は、内でスムーズさを欠いての結果だった。ゴール前ではいい脚色で伸びており、距離延長となる今回は巻き返しが期待できる。

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