最速の月曜公開!全重賞の展望をお届けします
※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。 芝中距離路線はこの一年間で上位陣の顔ぶれが一新されました。ジェンティルドンナ、ジャスタウェイ、ハープスター、エピファネイア、キズナといったスターホースたちが次々と競馬場を去って、中距離のトップは一時的に空席になっているような印象です。群雄割拠という状況の中から、誰もが認めるようなチャンピオンが誕生するのか。今年の天皇賞は新鮮味のある顔合わせになったと思います。 芝2000mはJRAで毎日のように行われる条件でありながら、古馬のGIは秋の天皇賞一戦だけ。必然的に、マイルなど短めの距離を使われてきた馬たちと、2400mなど長めの距離を使われてきた馬たちが激突する舞台となります。両路線のどちらを重く扱うかの見極めが的中への鍵になるでしょう。 1.斤量56kgを買うレース 要するに3歳馬と古馬牝馬です。過去10年で斤量56kgの馬は[3-5-5-16]、勝率10.3%、連対率27.6%、複勝率44.8%。斤量58kgが勝率4.9%、連対率8.3%、複勝率11.8%ですから、斤量が軽い馬に有利なレースになっていることは歴然としています。これはおそらく、馬場の高速化と密接な関係があると推察されます。軽い馬場で切れ味が要求される度合いが高まったことが、56kgで出走できる馬にとって追い風になっているのでしょう。 2.先行で押し切るのは至難の業 過去10年間、逃げた馬の成績は[0-1-0-9]と全敗です。4コーナー3番手以内まで広げても[1-3-2-30]、勝率2.8%、連対率11.1%と不振。勝ったのはダイワメジャーだけで、アーネストリー、カレンブラックヒル、トウケイヘイローなどが馬群に沈み、ジェンティルドンナも去年、一昨年ともに2着と勝ち損ねています。直線が長くて坂もある東京コースにおいては、早め先頭に立つ馬は「差され役」に回されがち。過去10年で8勝して2着にも4回入っている「中団差し」が秋の天皇賞における最強の脚質です。 3.マイラーでも戦える 一昨年の勝ち馬ジャスタウェイは、それまで1600と1800mを中心に使われていて、芝2000mはおろか芝1800mでも勝ち星がなく、マイラーと見なされていました。ジャスタウェイほど極端ではないものの同様のケースは数多くあって、たとえば2009年の勝ち馬カンパニー(5番人気)、2006年の勝ち馬ダイワメジャー(4番人気)もマイラーで「距離が長い」と軽く見られて人気を下げていました。もっと古くはアグネスデジタル然り、ヤマニンゼファー然り。古馬チャンピオン級のマイラーならば、東京芝2000mでも互角の戦いができることは歴史が証明しています。 ショウナンパンドラは宝塚記念3着でオールカマーを完勝と、近走は芝2200mでの好走が続いていますが、もともと芝2000mでは秋華賞勝ちを含めて[3-1-0-1]という成績を誇る「2000の鬼」。前走の完勝はそれまでの勝ち味の遅さを払拭する内容で、心身ともに完成の域に近づいて来たことをアピールしました。東京ではこれまで勝ち星に恵まれていませんが、左回り自体に問題はなく、今のこの馬にはむしろ東京こそベストな舞台のはず。脚質を考慮すれば勝利に一番近いのはこの馬だと思います。 ラブリーデイは今年に入って7戦5勝。3000m未満のレースに限れば5戦5勝(すべて重賞)という凄まじいばかりの快進撃を見せています。前で受ける脚質は秋の天皇賞向きとは言えませんが、今のこの馬ならダイワメジャー級のパフォーマンスを期待してもそれほど高望みではないでしょう。今回は川田騎手が騎乗停止で浜中騎手に乗り替わりになりますが、誰が乗っても結果を出し続けている馬ですから、不安材料にはまったくなりません。 ヴァンセンヌは安田記念ではクビ差2着に敗れたものの、前が残る展開を追い込んでのもので、GIでも勝ち負けできる能力を持っていることを証明しました。毎日王冠はまったくの凡走でしたが、元来が叩き良化型ですし、横山典弘騎手も試走に徹していましたから評価を下げる必要はありません。いままで芝1800m以下をおもに使われていて芝2000m以上では未勝利、というのもどこかで聞いたようなフレーズで、むしろ好走フラグとしか思えません。 エイシンヒカリは楽に逃げられたのが勝因とはいえ毎日王冠が完勝の内容でした。ただし、この馬の場合前走の時点では賞金的に天皇賞への出走が微妙でしたから、GI実績馬に比べて仕上げ面での本気度が高かった印象があります。脚質的なディスアドバンテージにくわえて、上積みの余地という点でもライバルたちに劣ることはやむを得ません。 スピルバーグは昨秋の天皇賞馬。毎日王冠は10着に沈みましたが、58kgを背負っての海外遠征帰り初戦で100%の走りを期待するのも酷でしょう。それでも上がり3F33.3秒はメンバー中3位であり、むしろ実力に衰えがないことを示す内容だったと思います。使われたことで型通りの良化を見せており、今回はGI馬として恥ずかしくない走りが見られることでしょう。 ディサイファは6歳になってようやく身体が完成した印象で、今年になって芝2000mで重賞を2勝。天皇賞に手が届くところまで来ました。ただし、タフな馬場を得意とするタイプで、レース上がりが速くなった場合に勝ち味に遅くなることが最大のネック。 ステファノスは重賞勝ちこそ富士Sだけながら、これまで香港遠征や皐月賞も含めてほとんど6着以下に落ちたことがないという安定感を誇ります。はじめて掲示板を外した前走の毎日王冠にしても、上がり3Fはメンバー中2位の数字をマークしており、本番に向けて手応えをつかむ内容でした。
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