丹下日出夫の予想

丹下日出夫

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12月22日 中山10R 有馬記念(G1)

丹下日出夫の見解

【走る万華鏡】オルフェーヴルは、クラシック三冠に加え、有馬記念、宝塚記念など、コース・馬場を問わず、積み重ねてきた国内GIタイトルは5つ。有馬記念奪取で現役生活にピリオドを打つ。ひも解けば、皐月賞制覇をはじめ、不良馬場のダービーを直線一気の完勝。菊花賞はレコードに0秒1差と迫る3分2秒8。続く有馬記念は、スローペースも委細構わず、めくり上げるようにして古馬を圧倒。宝塚記念は2分10秒9。2着に敗れたものの、昨年のJCの上がりは32秒9。コース・馬場を問うことなく、GI戦線のフロントランナーとして、競馬シーンを牽引してきた、日本競馬史上に名を残す実力馬。体調と気力さえ整えば、実力は抜けている。

なんて、フランスにおける、フォア賞、そして凱旋門賞前のオルフェーヴルの調教風景は、これが同じ馬かと思えるほど、栗毛の馬体が黄金色に発光し、伸びやかにダイナミックに、色濃い木立の中を疾駆していた。二度目の凱旋門賞となった本年も、軽量3歳牝馬トレヴの軽やかな末脚に屈し、2着と敗れたものの、帰国後もその容色と力感は衰えず。昨年は10月7日の凱旋門賞から、11月25日のJCまで、約1か月半。馬体もややガレ気味に映ったが、本年は現地でアフターケアーをすませ、間にノーザンFの信楽放牧を挟み、2か月半以上の感覚を開けての調整。トレセンでの調教開始は11月23日。昨年のJC日本においても二度三度と絶頂期はあったが、引退レースの有馬記念を、また違う姿で迎えることになる。

ただ、見ようによっては、あまりに馬体が立派過ぎる?--サラブレッドは、いざ実戦において、細すぎるくらいに仕上げないと、結果が伴わないケースが多々あるが、父ステイゴールドもその産駒も、そうした競馬の常識を打ち破ってきた異端派。オルフェ自身も、万華鏡のように、その時々で違う姿を見せていた。木曜日は雨。この寒さでは、日曜日も湿り気が残る。パワー勝負のオーバーシードの冬の芝も望むところだ。

ひとつ年下のゴールドシップも、オルフェの軌跡をなぞるようにして、菊花賞・3分2秒9の記録をもって続く有馬を大外一気。京都大賞典・ジャパンCは、知っての通りの高速決着。同じステイゴールド×メジロマックイーン配合ながら、オルフェ以上にムラがあり、高速決着に課題は残しているものの、洋芝をミックスしたオーバーシードの中山は、阪神JFで同じステイ産駒のレッドリヴェールが。先週の朝日杯は、いかにもアメリカンなパワー型、アジアエクスプレスが優勝。JCの芝とはグリップが違う。急坂が待ち構えているぶん、1F・10秒台の瞬発力勝負にもなりえない。JC時は普段の調教においても、力が前よりも上へと抜けてしまうような、ぎくしゃくとした追い切りだった。

JCパドックや返し馬は、さすが超一流馬という貫禄を示していたものの、どこか目がやさしく、掻き立てられるべき闘志も不足していた。しかし、マスコミで報道されている通り、今度は馬具を工夫。鞍上のムーアも、欧州系の芝、そしてパワー型のゴールドシップのようなタイプの首を、前へ前へと伸ばす術にも長けている。これほどブリンカーが似合う馬はいないと思うんだけど…。ただ、いかにムーアをもってしても闘志を鼓舞することができない場合も、当然ありえる。

気ムラなステイ二騎の間隙を突き、単穴に浮上するのはトーセンジョーダン。3年前の有馬記念は、アルゼンチン共和国杯・2分30秒0の快走の反動で、続く有馬は5着。2年前の有馬は、秋の天皇賞を1分56秒1という、空前のレコードで駆け抜け、続くJCを2着。有馬はまたも、その反動がたたり5着に敗れたが、三度目の有馬は、JC3着の勢いももって、上り調子で臨める。

ちなみに本年のJCは、前年とうってかわって、前半1000mは1分2秒4のスロー。レース自体は凡庸に映るが、上がり4Fのレースラップは11秒9-11秒1-11秒1-11秒9。残り3F目から一気に11秒1-11秒1にペースアップした厳しい流れを、2番手追走からクビ差3着に粘り込み。最後の4Fに限っては、GI級のみが耐えうるHラップだった。

ヴェルデグリーンにも惑星の資格。前走の天皇賞は、勝ったジャスタウェイの勝ちっぷりと末脚は別格として、先行集団と後方待機馬が、二つに割れる特異な競馬。直線差を詰めるのみの8着に終わったが、オールカマーでは、中山の急坂を上がり33秒6で外一気。馬場・コースが替われば、ガラリ一変の様相を呈してくる。

JC0秒1差・4着のアドマイヤラクティの父は、有馬でディープを封じ込めた、あのハーツクライ。ウィリアムズは、ここぞのGIでは積極策がウリだ。

オルフェの好敵手を務めてきたウインバリアシオンは、金鯱賞3着で復活の狼煙。末一手に賭けるほかないが、オルフェ以外なら五分。

デスペラードと横山典とのコンビに、最後の印を送りたい。

むろん、有馬記念には、過去の歴史が物語るように、それぞれの「よし」--「もしかして」も当然ある。

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