「新潟外回り重賞は、究極の瞬発力勝負」というような表現がよく使われます。馬券を買う際も、とにかく「上がり3F」が速い馬を選んでしまいがちですが、それだけではこのレースの真の姿は見えてきません。 新潟記念(G3・新潟10F) 2006:35.0-47.5-34.7=1:57.2(トップガンジョー) 2007:35.1-47.2-35.5=1:57.8(ユメノシルシ) 2008:35.7-47.5-34.3=1:57.5(アルコセニョーラ) 2009:36.6-49.5-33.5=1:59.6(ホッコーパドゥシャ) 2010:36.2-47.9-34.3=1:58.4(ナリタクリスタル) ※「テン3F-中盤4F-上がり3F」で表記、( )内は勝ち馬。 いかがでしょうか。新潟記念は過去5年のうち4回、中盤4Fが「47秒台」という速さになっているのです。2006・07年はテン・中盤・上がりとずっと速い「一貫ラップ」、08・10年はテンが緩いぶん上がりが速い「加速ラップ」の違いはありますが、この4回は全て中盤が47秒台、即ち平均で11秒台のラップが並んでいます。つまり、「上がり」だけの「瞬発力」というよりも、「中盤-上がり」と続けて長くいい脚を使う「持続力」が問われる性質のレースなのです。まずはこの「誤解」を正して、しっかり資質を見極める必要があります。 しかも、新潟コースを「大回り」と表現する「誤解」の予想文章もよく見ますが、コーナーのキツさで言えば福島よりも小さなカーブを回る「小回り」コースなのです。つまり新潟10F戦は「中盤」でキツいカーブを回るので、実際レースで掛かる負荷は大きく、単純に「上がり」だけが速い馬では対応できないのは、言うまでもないでしょう。 確かに、09年新潟記念は「中盤49秒台」で「上がり33秒台」ですし、もっと言えばオースミグラスワンが差し切った08年新潟大賞典などは「中盤50秒台」→「上がり32秒台」という、極端な「瞬発力勝負」でした。そういう場合もありますが、あくまでも本筋は「持続力勝負」で「長くいい脚が使える馬」を探すこと。これをしっかり意識しておきましょう。 今年の出走馬の勢力は、大きく下記の3つに分けられます。 「(1)新潟実績がない格上馬」 …一昨年札幌記念でブエナビスタを下したものの新潟初出走のヤマニンキングリー、今年の大阪杯でヒルノダムールと0.2差だったが新潟大賞典では1番人気6着に沈んだタッチミーノット 「(2)新潟10F重賞実績がある馬」 …新潟10F重賞で馬券になったことがあるナリタクリスタル・セイクリッドバレー・サンライズベガ・オペラブラーボ 「(3)前走、新潟10F条件戦で好走した馬」 …前走同舞台の条件戦で連対して挑戦する、エオリアンハープ・シャイニーブラウン・プティプランセス 通常ならば、新潟実績がなくても持続力があれば(1)の格上馬を重く見るべきですが、ヤマニンキングリーもタッチミーノットも、どちらかと言えば小回りでも4コーナーまでジッとしているタイプ。つまり、そこそこの底力は持っているものの、圧倒的な持続力は持っていません。これならば「格上」とは言えないまでもG2で4着があり、最近小回りでは捲くりを見せているホワイトピルグリムでも差がなさそう。 (1)の組がパッとしないここはやはり、素直に(2)の同舞台重賞実績馬を中心に考えるべきでしょう。ただ、ハンデはこの組のなかでも新潟重賞勝ちがあるナリタクリスタル・セイクリッドバレーが重くなっており、ここの兼ね合いが問題になりそうです。ハンデ戦ならば(3)の同舞台の条件戦好走馬も無視できないところで、「中盤48.8」とちょっと緩い天の川Sを圧勝したエオリアンハープ・「中盤47.7」となかなか速い信濃川特別を辛勝したプティプランセス、共に一応マークはしておきたいところ。
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