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4月29日 京都11R 天皇賞(春)(G1)

netkeibaデスクの見解

※月曜日段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

 春の天皇賞を2連覇したキタサンブラックが引退。また、キセキ、サトノダイヤモンドという菊花賞勝ち馬も不在で、GI馬は昨年のジャパンカップの勝ち馬シュヴァルグラン1頭のみ。先日行われた大阪杯にGI馬が5頭出走していたのとは様変わりして、古馬長距離の大一番は、華やかさに欠ける顔ぶれで行われることとなり、人気も割れそうだ。

 二強種牡馬・ディープインパクト、キングカメハメハともに、春の天皇賞では産駒が1番人気に推されたことはあるが、これまで未勝利。それに次ぐ存在であるハーツクライも、じつは3000m以上の長距離GIを勝った産駒をまだ出していない。ダービー馬を合わせて6頭も出している大種牡馬3頭が苦戦しているところに、春の天皇賞馬のユニークさが表れている。

1.スピードが求められる舞台

 冬の京都開催が不順な天候に祟られた影響が心配されたが、レコードで決着したマイラーズCを見てわかるように、今春の京都もまた高速馬場になった。春の淀の3200mはなによりもスピードが求められる条件であり、一連の長距離路線とは一線を画する。阪神大賞典の勝ち馬は、過去10年で7頭が3番人気以内に支持されながら[2-0-3-5]と信頼性は一息。また、ステイヤーズS、ダイヤモンドSという3200mを超える距離の重賞を勝った経験があった馬の天皇賞での連対例は、過去10年で2015年2着のフェイムゲームのみ。一連の長距離重賞路線の成績は「参考程度」に留めるのが妥当だろう。

2.先行する準備はできているか

 過去10年で阪神大賞典から臨んだ馬の成績は[3-2-4-48]だが、阪神大賞典での4コーナー通過順位が3番手以内だった馬の成績が[3-2-1-20]。つまり、阪神大賞典組で天皇賞で連対した馬は、すべて前走で先行する脚を見せていた、ということになる。阪神大賞典でサトノダイヤモンドに差されたシュヴァルグランが、天皇賞では同馬の追撃を抑え込んだ昨年が象徴的だ。阪神大賞典に限らず、前走の脚質が「逃げ・先行」だった馬が過去10年の天皇賞で7勝して2着4回。

3.順調に使われている馬が中心

 過去10年の勝ち馬で、前走馬券圏外から巻き返した馬は2頭のみ。1頭は2014年のフェノーメノで、前走の日経賞は5着と言っても0.5秒差だった。もう1頭の2012年のビートブラックは、2頭で離して逃げる形から粘り込んだもの。長丁場のGIということで、勝ち負けするためには心身ともにピークに近い状態が求められる。不振馬の巻き返しは、展開を味方につけた場合にほぼ限定される。

 クリンチャーは昨年の菊花賞2着を含めて、これまで京都コースでは[2-1-0-0]のパーフェクト連対。3コーナー過ぎの下り坂を利用してスピードに乗っていけるコース形態が合っているようだ。

 前走の阪神大賞典は「一周目の3コーナーを勝負所だと馬が勘違いしてしまった」らしいが、いかにも前哨戦と割り切った敗戦でもあった。折り合いを欠く場面がありながら3着に粘り込んだのだから、むしろスタミナの確かさに自信を深めた部分もあるのではないか。武豊騎手の騎乗停止による乗り替わりは誤算だが、あえて仕掛けを遅らせた前走の布石が、今走に活きてくるものと思う。

 レインボーラインは一昨年の菊花賞2着馬で、道悪になった昨秋の天皇賞でも3着したように、スタミナ勝負にはめっぽう自信を持つ。ただ、ここまで4勝のうち3勝が阪神で、京都では[0-1-1-2]ともうひとつ。コース対応に課題は残る。

 ガンコは昨年暮れに芝に再転向してから4戦3勝。日経賞を制して、あっという間にGIに手が届く位置まで駆け上がってきた。3000m級の距離は初めてだが、押し引き自在のレース巧者で、京都替わりも問題ない。

 トーセンバジルは昨秋の京都大賞典で2着したときには、シュヴァルグランに先着している。このときが新潟記念7着からの臨戦だったように、休み明けを一度叩かれて調子を上げるタイプ。直線が長い京都外回りに替わるのもプラス材料だ。

 シュヴァルグランは近年活躍が目立つ大阪杯からの臨戦だが、そこで13着とよもやの大敗を喫してしまった。中3週で心身のリズムを立て直せるか、注目が集まる。サトノクロニクル、チェスナットコートは、いずれもハーツクライ産駒。エンジンの掛かりの遅さはネックだが、両馬とも京都外回りで勝ち鞍があるように、コース替わりは歓迎だろう。

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