先週末(2023/4/22,23)よりいよいよリニューアルオープンした京都競馬場でのレースが開催されました。昔から京都競馬場を知っているファンはもちろん、昔の京都競馬場を知らない競馬歴の浅いファンも色々な視点でレースを確認したのではないでしょうか。特に「新しくなったレースコースがどのような特徴があるか？」という視点は大事でありこれはコンピュータ予想(AI)でも同様です。

　今回の京都競馬場のリニューアルだけでなく、今後もレーストラックの変更や新競馬場の誕生といった可能性はあるかもしれません。特にコンピュータで予想をする場合は、コース特徴を正確に数値でとらえ、情報をアップデートしていく必要があります。当コラムでも何度か関連する内容をお伝えしてきましたが改めて「コース特徴の数値化」について整理してみます。

　AISS(ウマーブル)では、特定コース特徴として定期的に過去レースのデータを集計するようにしています。例えば下図は、中央競馬各開催場所の「芝2000mコース」について上位入選馬(5着以内)のレースタイム、テンタイム、上りタイムの平均値を集計したものです。

※なお、新潟は芝2000mについて内外回り両方ありますが、内回りの集計値を載せています。京都はリニューアル前の集計値です。


　東京コースはレースタイム・上りタイムが速いことや、札幌コースは上りタイムが遅いことなどが改めて確認できます。重要なのはこのような事実を人間が知っていたとしても、数値として正確に表現しないとコンピュータ(AI)が予測に利用できないということです。逆に、最低限の数値情報をコンピュータに与えればそのデータを組み合わせて新しい解釈をしてくれる可能性が高まります(これが今のAIの強みです)。
例えば、下図は上記のデータから「1-5着馬の平均上りタイム / 平均テンタイム」を算出したものです。


　このデータは今回コラムを作成するにあたって算出したものであり、明示的なデータとしてデータベースに登録しているわけではありません。つまり、先ほどのような「1-5着の平均上りタイム」「1-5着の平均テンタイム」を基本データとしてそこから2つの数値の比を見ることで、「東京競馬場は特にギアチェンジ能力が求められる」「福島競馬場はテンも上りもほぼ同じスピード」といった事実を数値で捉え予測に利用できます。

　また、特徴の数値化表現と同様にしておきたいのが「なぜそのような特徴になるのかの説明や解釈」です。例えば「競馬場によって上りタイムが異なるのはなぜか？」という疑問に答えられますでしょうか。

　絶対の正解はないにしても「一般的にこうだから」という説明はできる人が多いでしょう。後はそれらの考えを数値で表現したうえで解釈・説明できるとベストです。これらについては次回のコラムにて解説したいと思います。

　最後におまけとして、今週末(2023/4/30)行われるG1天皇賞春が開催される「京都芝3200m」のコース集計値の一部を載せます。(京都芝3200mは天皇賞春のみで開催されるので実質天皇賞春の集計データ)。やや内枠有利、差し馬有利(上りが必要)といったところでしょうか。上位人気はタイトルホルダーやディープボンドなどのベテラン勢 VS 昨年の菊花賞上位馬といった構図で楽しみな一戦ですね！