写真:AISS×マジックウマのAIつれづれ草

【AIコラム】調教データの有効性を考える

2023年3月17日(金) 15:00

「他人が行っていない予想・分析をする」という視点の重要性は当コラムでも何度かお伝えしてきました。今回はその中でも「調教」について考えてみます。

「調教」は「血統」や「パドック診断」などと並び特に専門性が高いと感じています。私自身もAI開発する上で最低限の勉強しかしておらず、特別な集計などは施さず追切データを入力して活用しているのが現状です。また、「調教」データの分析についてはまだまだ他のファクターと比べて扱いが難しく本格的に予想に活用している方は少ないという印象があります。今回は、追切映像の解析といった更に高度なテーマを除いて、まずは単純な(最終)追切数値の集計をしてみます。

 前提として、最終追切の場所は、「美浦トレセン」または「栗東トレセン」で全体の90%程度を占めています。更にその中でも「ダート」「ニューポリトラック」「ウッド」など調教コースによって条件が異なるため、トレセン調教の約半分の割合を占める「坂路」調教を今回の集計対象とします。

 まず、そもそも「栗東」「美浦」で違いがあるのか、について改めて確認しました。

写真:栗東坂路調教馬と美浦坂路調教馬の成績 ※2018年〜2022年

栗東坂路調教馬と美浦坂路調教馬の成績 ※2018年〜2022年


 上表の通り、「西高東低」と言われるように「西日本(栗東)の方が強い」というイメージは一般的であり、データとしてもその印象は正しいと言えそうです。

 ここからそれぞれの坂路でタイム比較を行うのですが、下表の通りコース特徴の違いからタイムに差があるのでタイムを偏差値化して比較することとします。

写真:栗東坂路と美浦坂路の調教タイム集計値(最小・平均) ※2018年〜2022年。単位:秒

栗東坂路と美浦坂路の調教タイム集計値(最小・平均) ※2018年〜2022年。単位:秒


 偏差値の計算方法は省略しますが、学校のテストで用いられているように偏差値50を平均としてそれよりも高いと「評価も高い」、低いと「評価も低い」となるような数値です。AISS(ウマーブル)でも、競馬に出てくる各種タイムでの比較は基本この偏差値を用いて行っています。

 例えば、先週(2023/3/12)のG2金鯱賞を制したプログノーシスは最終追切を栗東坂路で行っていますが、そのタイムを偏差値化したものが下表となります。全体時計はイマイチであるものの、ラスト1Fは偏差値「58.1」と、平均よりも高いことが分かります。

写真:タイム偏差値化例 ※タイムの単位は秒

タイム偏差値化例 ※タイムの単位は秒


 ここでそれぞれのトレセンでのラスト1Fの偏差値区分別成績を示します。

写真:栗東坂路と美浦坂路のラスト1Fでのタイム偏差値区分別成績 ※2018年〜2022年

栗東坂路と美浦坂路のラスト1Fでのタイム偏差値区分別成績 ※2018年〜2022年


 どちらのトレセンでも偏差値60以上で大きく成績が向上し、逆に40以下では大きく成績が下降します(偏差値60、40はそれぞれ上位約15%、下位約15%の数値です。栗東だと12.3秒、12.8秒、美浦だと12.5秒、13.0秒程度が基準です。)。ここでも目に引くのはやはり「栗東坂路調教馬」の優秀さですね。

 最後に、「栗東坂路」の「ラスト1F」で「偏差値60以上」を出した出走馬の成績を、クラス別に算出してみます。

写真:栗東坂路調教ラスト1Fで偏差値60以上である出走馬のクラス別成績 ※2018年〜2022年

栗東坂路調教ラスト1Fで偏差値60以上である出走馬のクラス別成績 ※2018年〜2022年


 これだけで儲かるわけではありませんが、特に「新馬戦」では多くの競馬ファンの予想通り好時計での調教が如実にレース結果に繋がっていそうです。一方、「3勝クラス」「OP」といった上級条件になると的中率は下がる一方、回収率は高い数値をキープしているため多くの予想ファクターがある中で意外と盲点となっている可能性があります。

 実際私も調教映像をほとんど見ておらず、調教コースについてもあまり知りません。従って、当然取材記者の方のように実際に調教について熟知されている方の方が調教に関してもっと豊富なアイデアや集計ができると思います。奥深いテーマですが、多少の違いはあるにせよ調教の仕組み自体は長年変わっていないはずなので更に知識を増やして多くの分析をし、データ化していければなと思います。

※余談ですが、2018〜2022年の集計期間で「栗東坂路調教」の「ラスト1F」が最も早かったのは2021/10/3のスプリンターズSに出走したクリノガウディーで、タイム11.4秒(偏差値は78.0)でした(結果は8着)。

AISS 阪神大賞典予想

AISS

AISS(アイス)と申します。昨今話題のAI(人工知能)において技術発展の火付け役となっている、機械学習手法「ディープラーニング」による予想を提供いたします。レース情報や出走馬の戦績、調教、騎手や調教師の実力、出走馬同士の力関係といった2000項目以上の情報を過去の大量データより学習し、「ただ当たるだけでなく回収率も高くなる」ような予想ができるようにAIモデルを設計・構築しました。AIを利用して安定かつ高精度の予想が実現できるように、日々試行錯誤の分析・シミュレーションをしています。少しでも皆さまの馬券成績向上のお力になれれば幸いです。

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