2023年のウマーブル初コラムとなります。通常のレース予想や回顧と異なる内容ではありますが少しでも多くの方に参考になれば幸いです。

　2022年12月コラムの内容で「オッズと馬券的中率」について触れましたが今回はその延長線上で「馬券売上とオッズ」について検討したいと思います。

　まず近年の競馬の馬券売上について、最近は特に「○○レースの売上が昨年より●％UP！」といった記事をよく見かけます。例えば下のグラフは過去10年(2013年〜2022年)での有馬記念の馬券売上推移です。年を追うごとに売上が上がっており昨年(2022年)は過去最高である521億5504万6600円となりました。売上増加の要因については考察しませんが、コロナ禍におけるネット投票の増加、競馬関連コンテンツ(アプリや動画)の拡充、プロモーションの効果、AI勢による自動大量購入、など考えられそうです。

　※過去10年では増加していますが、過去最高売上は1996年の875億104万2400円です。



　有馬記念は普段競馬をやらない人でも関心があるくらいなのでどの年でもおおよそその年の最高売上を記録します(2022年も)。反対にJRAで2022年の(単勝)売上が最も少ないレースは2022/10/15に行われた新潟1R障害未勝利戦でした。両レースの売上比較をしたものが下表ですが差は歴然です。単勝売上については有馬記念「42億9109万900円」に対し障害未勝利「1230万7800円」と、約350倍の開きがあります。


　この2レースの比較はさすがに極端すぎますが馬券購入において「馬券売上」は考えるべき要素の一つです。

　下図は、先ほどの「有馬記念」「障害未勝利」の2レースで人気馬・中穴馬・大穴馬について単勝馬券購入をしたときにオッズがどれほど変化するのかをシミュレーションしたものです。


　例えば有馬記念で「エフフォーリア」の単勝を1000万円購入した場合、もともとの単勝オッズ「10.1倍」から「9.8倍」に変化します(”確定”オッズで計算しているため実際にはこのようなオッズ変化の観測は不可能ですが)。大レースほどいわゆる「ぶっこみ」する人が現れ特に売り上げ開始直後にオッズ変化の影響が少なからず観測される場合がありますが、基本的にG1クラスの大レースで最終的なオッズを動かすにはそれなりの金額が必要です(特に低オッズ帯では)。対して、「障害未勝利」では単勝オッズ2.2倍の「アームストロング」が100万円の馬券購入で「1.9倍」に、単勝オッズ119.3倍の「シゲルアライグマ」が10万円の馬券購入で「54.4倍」といったように「有馬記念」と打って変わって比較的少額でもすぐにオッズが変化します。

　このようにJRA平場の午前レースなどはもちろん、比較的売上の少ない地方競馬ではさらに馬券購入がオッズに与える影響が大きくなるでしょう。

「私はこんなに金額賭けないし大丈夫！」と思っている人も決して関係ない話ではなく、著名予想家や人気競馬youtuberなどがおすすめする買目に皆のってしまった場合、例えばそれが1人100円でも100人いれば1万円、1万人いれば100万円とオッズに大きく影響を及ぼすことは想像に難くないはずです。日本競馬においては馬券購入の相手は同じ馬券購入者であるためそういった影響があることも考えて、「ある馬(買目)のオッズが本当に適正か？」といった視点が重要です。私自身最近特にオッズが辛い(競馬ファンの見方が正しい)と感じているためレースの予測だけでなく、しっかりとオッズに対しても向き合っていきたいと思います。

※上述した馬券購入によるオッズ変化シミュレーションは先日のコラムでお伝えした、
・オッズ = 総払戻金額　÷　該当馬券の販売金額
　という式を用いれば計算可能です(馬券売上もJRAのHPで調べられます)。今回は文字数の都合上割愛いたしますが、興味がある方は取り組んでみてはいかがでしょうか。

ウマーブルの成績について

　予測師ウマーブルは2021年末よりデビューしましたが、2022年は丸一年配信させていただき、結果として、

・1401レース 的中率19.9％　回収率105.2％

　とプラスで終えることができました！

　また2022年10月よりアップデートをしたのですが、2022/10/1〜2022/12/28の期間について、

　本命馬については、

・単勝的中率29.1％、回収率101.2％
・複勝的中率54.7％、回収率93.0％

　とまずまずの精度ではないかと思います。

　券種別の回収率としては、

・単勝 121.1％
・馬連95.1％
・三連複 106.3％
・三連単 107.2％

　と、配信対象券種すべてでプラスになることは叶わなかったものの、約3か月という期間で特にぶれが大きくなりがちな三連単の成績が安定している点では安心できました。

　今年も精度向上や買目構築の最適化などを通して引き続き高い成績を残せていけるよう努めていきます！