AISSとマジックウマ、ともに「ウマい馬券」でトップクラスの実績を残している予想家だ。とはいえ、「ウマい馬券」には数多くの予想家が参加しているので、2人の名前を初めて目にする方もいるかもしれない。そこで、まずは簡単な自己紹介をお願いした。

マジックウマ：私はマジックウマという名前で俺プロ（netkeiba.comが主催する競馬の予想大会。一定の結果を残すと公認プロとして予想家デビューできる）に参加し、2019年秋より公認プロとして活動しています。予想のベースは人気馬の取捨選択と期待値の高い馬を見つける事で、まずは期待値を算出した上で、そこに個人的に使用している指数であったり、パトロールビデオによる有利不利であったり、トラックバイアスであったりといった主観的な要素を加えて予想しています。

AISS：私も俺プロ出身で、2020年6月より公認プロになりました。AISSという競馬AIで予想を提供しています。ディープラーニングという手法を用いているのが特徴で、これは競馬AIでは少数派なのではないでしょうか。私の場合、プロ予想家になりたいというよりも、自分の作ったAIがどれぐらい通用するか試してみたいという気持ちで俺プロに参加したのですが、幸いなことに結果が出て、今は公認プロとして活動させていただいています。
マジックウマ：まず、AISSさんとのご縁は亀谷さんに主宰いただいた会があっての事ですのでキッカケを作って下さった亀谷さんには本当に感謝しております。個人的に亀谷さんのプロジェクトで長い間血統の勉強をしていた事もあり、いつか自身の活動を通して恩返し出来る様頑張りたいと思っています。AISSさんについてはデビュー時から大活躍でAI予想の凄さを感じると共に俺プロ予想家全体のブランディングが高められたと感じていました。そんな気持ちでしたので、お会いした時は「ありがとうございます！」という気持ちでしたね（笑）。

AISS：その会には、著名な予想家さんがいらっしゃっていたので、お会いできて純粋に嬉しかった記憶があります。もちろん、俺プロ出身として活躍されていたマジックウマさんのことも存じ上げていたので、そんな風に思っていただけていたのは光栄ですね。マジックウマさんとは、そこでお会いして以来、競馬談義をしたり、AIについて話したりするようになりました。
AISS：予想スタイルが異なっているので、メリットは大きいと思っています。調教であったり、レース回顧に基づく有利不利であったりとか、競馬予想にはデータ化しづらい部分があるので、マジックウマさんがお持ちの情報を組み合わせることでより精度が上がるのではないかと期待しています。

マジックウマ：AISSさんとお話させていただく中で、血統を特徴量（機械学習における、分析すべきデータや対象物の特徴・特性を、定量的に表した数値）に入れていなかったり、騎手の要素もあまり重視されていなかったり、というのがありました。競馬のいいところは、予想ファクターがたくさんあって、その使い方によって予想結果も変わるという部分だと思います。既に高いレベルで結果を出しているAISSさんに、私が重視しているファクターをドッキングしたら、どんな結果になるのだろう？　今はそのワクワク感が大きいですね。
AISS：マジックウマさんの知見をデータ化し、それをAISSに加えることで新たなAIを生み出す。それが最終目標で、『予測師ウマーブル』はその第一歩だと考えています。

マジックウマ：具体的には、私の採用している期待値の高いとしている条件をAISSさん側で偏差値化してもらい、アイスコア（AISSによる予測値。予測対象馬がどれだけ馬券的に美味しいかを表す）に加点して、そこから最適の買い目を作って配信する形を予定しています。検証を重ねていますが、マジックウマの予想ともAISSさんの予想とも異なる結論が出ることも多いですね。
マジックウマ：『予測師ウマーブル』が他の競馬AIと異なるのが、「全レース予想ではない」という点です。具体的には『予測師ウマーブル』が出したスコアの上位40〜50％に絞って、確度の高い軸馬候補として提供する方向で考えています。

AISS：AISSとの比較では、確実に的中率は上がると思います。AISSはどちらからといえば1レース単位での爆発を狙っていて、的中率は10〜15％ぐらいですので。逆にマジックウマさんは比較的、的中率も重視されているので、『予測師ウマーブル』はちょうどその間、的中率20％前後を想定しています。
マジックウマ：お互いに確かな数字は出ている予想理論なので、結果は自ずとついてくると信じています。コラボレーション予想という貴重な機会をいただいたので、お互いの強みを発揮して、予想の参考にしてもらえるよう、ベストを尽くします。

AISS：競馬予想は、基本的には1人でやるもの。それだけに、こうして同じ俺プロ出身のマジックウマさんと一緒に組んでやる機会を得られたことを非常に嬉しく思います。やるとなった以上、ユーザーの皆さんのお役に立てるよう頑張ります。