○馬齢に関する特徴を考える

先週（8/28）は新潟2歳S、今週末（9/3,4）は札幌2歳Sと小倉2歳Sが開催され、夏競馬の終わりとともに来年のクラシックへ向けて2歳戦も盛り上がりを見せ始めます。そこで今回は、「馬齢」に関する特徴について考えてみます。

「馬齢戦」は「古馬戦」と異なり、初出走や出走数が少ない馬が多いため予想は難しいイメージだと思います。下図は2,021年のレースを対象に競走種別ごとの人気馬（1〜3人気）の勝率・複勝率を算出したものです。


これだけ見るとむしろ古馬戦の方が人気馬の成績が芳しくないように見られますが、そもそも古馬戦ではハンデ戦などが組まれるので予想が難しいレースが多いといった側面があり単純な比較はできません。
次に、2歳戦に絞り競争条件別の成績をまとめました。


2歳戦全体での平均値を下回るのは「新馬戦」「1勝クラス」であり、特に「新馬戦」の予想が難しい（人気通りに走りにくい）事は納得です。「未勝利戦」が思ったより人気馬の成績が良くて意外でしたが、2歳戦は「新馬戦」「未勝利戦」だけで全体の約90%を占めるため、本来は「未勝利戦」も時期や出走馬の傾向（出走歴が多い馬の割合など）で更に細かく分析したほうが良いと感じます。

○馬齢に関する特徴をデータ化するには

上述のように馬齢に関する競走種別や条件でも予想の難易度や傾向が異なることが分かります。
特に「種牡馬」や「調教師」などによっては「新馬・若駒戦が得意」「じっくり時間をかけて成長する/させる」といった特徴があるはずで、なるべくAIを含むデータを用いた予想でも、その傾向を反映させたいと考えます。過去のコラムでも度々触れていますが、このような傾向のデータ化は開発者によって方法がいくつもあり、精度向上につながるようなアイデアを反映させることが開発者の腕の見せ所です。

例えば、今回のように「馬齢ごとの種牡馬や調教師の特徴」をデータ化させたい場合、

1.シンプルに「種牡馬」「調教師」「馬齢」などそのまま入れてうまく機械に特徴量化してもらう。
2.集計値として工夫する

という2つの手法が一般的だと思います。

1.は機械学習のアルゴリズムに頼るので特に開発者が工夫できることは少ないですが、過去データで学習しても未来予測で使えない（「種牡馬：ディープインパクト」で学習しても産駒が出現しなくなるといったように）ので注意が必要です。

2.は例えば、「種牡馬ごとの馬齢戦での成績」といったように特定の条件で集計を行いその数値を入力する方法です。

下図は2022/8/21まで、各種牡馬の産駒が過去500勝したレースが「2・3歳レース」であった比率を上位10頭、下位10頭算出したものです。


こちらの集計は地方競馬のレースも含めているため、中央競馬での傾向と若干異なる可能性がありますが、「ディープインパクト：早熟傾向？」や「ステイゴールド：晩成傾向？」といた一般的に言われている傾向は数値としても現れています。

上記は1例ですが、なるべくこのような傾向について情報性を落とすことなくデータ化できるようなアイデアを今後も考えて精度向上につなげていければと思います。

最後に、AISS（ウマーブル）は過去走データが少なく予想が難しい2歳戦も組まれる夏を好調で乗り切ることができて良かったです！2,022年も残り4か月ですが引き続き良い成績を残せるよう努力します。