○レースの”荒れやすさ”を考える

最初に個人的な思い出となりますが、今週末（2022/5/15）行われる「G1ヴィクトリアマイル」はとにかく
”荒れる”
というイメージがあります。
私が競馬を初めて間もないころ、2015年のヴィクトリアマイルを東京競馬場で現地観戦しましたが、このとき5人→12人→18人気で決着し、三連単2,070万5,810円と、G1史上最高払戻とあり未だ破られていません。私はもちろん、競馬場内のファンは唖然、驚きすぎて逆に声が出ませんでした笑
2022年のこれまで行われた平地G1の結果は以下の通りです。


2015年ヴィクトリアマイルの払戻と比較してしまうと霞んでしまいますがそれでも荒れています。1番人気の勝利がないどころか、馬券に絡んだのが7レース中2レースというのも珍しい気がします。
「ここまで今年荒れているのだからヴィクトリアマイルも荒れるはず！」というつもりは全くないですが、今週はこれまで説明していた特徴量についてではなく、”荒れやすさ”について考えます。
“あるレースが荒れるかどうか”が分かれば、それに応じて馬券の買い方を変えたり、そもそも堅そうなら購入
を見送るなど判断ができます。
ではまず”荒れやすさ”とは何なのか？
判断は難しいところですが、ここでは三連単の払戻で考えてみます。

2021年の中央競馬のレース（3,477レース）の三連単払戻の中央値（小さい順から並べた時の真ん中の値）は
27,020円でしたのでこの値以上は”荒れた”と判断します。ちなみに平均値は132,522円です。年収の分析など
と同様、平均値だと大きな値（100万以上の払戻）に引っ張られてしまうのでこのような集計値の活用には注
意が必要となります。

例えば、「単勝1番人気のオッズ区分」により「荒れるレースか」の集計をすると以下のようになりました。


単純な集計をしただけですが、顕著に1番人気のオッズが荒れやすさに表れています。
（ちなみに2021年で最も1番人気の単勝オッズが高いのは11/21 福島10Rの二本松特別で12.カゼノタニノアヤカ6.1倍、そのときの三連単払戻は124,320円でした。）

上記は、確定オッズを使用しているので実際には”荒れレース”を完璧に予想できるわけではありません。また、荒れやすさの指標には、上位人気馬のオッズの他、レースクラスや条件（主にハンデ戦か）、頭数、競馬場、距離、出走メンバーレベル、先行馬割合などさまざまなファクターが考えられます。
更に精度が高い予測をするには、多くのファクターで統計手法やAIを用いれば良さそうですが、上記の単純な集計からもある程度”荒れるレース”の選別ができることは改めて分かりました。

○レースの荒れやすさで買目を選別する

実際、AISS(ウマーブル)も予想印と予測オッズにより買目を選別しています。先週末5/8東京12Rのように、本命馬が比較的堅実な場合は、本命馬と対抗馬を厚めになるよう買目を調整することで馬券成績を向上させる狙いがあります。プロの馬券師と呼ばれる方は、印だけでなく買い方もとても考えられているため、コンピュータによる買目の自動最適化も更に極めていきたいです。