写真:プロ予想家の「思い出語り」

【皐月賞】「解放」と「牙城」を食らった“本物"の存在(オオタケ)

2022年4月14日(木) 18:00

写真:1995年の皐月賞を制したのはジェニュイン(撮影:高橋正和)

1995年の皐月賞を制したのはジェニュイン(撮影:高橋正和)


 毎年、皐月賞を迎えると1995年の同レースを思い出す。

 小学校低学年で競馬に目覚めた私は、当時の競馬の印象・社会的位置付け(その雰囲気)から、周囲に「競馬が好き」と口外できずにいた。

 まだ「競馬はギャンブル」というイメージ・世論が先立っていたためか、子供心ながらに「口にしてはならぬ」と、暗黙のルール付けができていたのかもしれない。

 ただ単に「馬が一生懸命走って、人間が一生懸命追って1着を目指すレース」という興味本位でしか競馬を見ていなかったのだろうが、当時はそれが週末の最高の娯楽だった。

 そんな渦中に当時の皐月賞を勝利したのが、岡部幸雄騎手騎乗のジェニュイン。私は既に小学校6年生。より多感な時期に差し掛かっていた。

「ジェニュインってどんな意味だ?」

 辞書を引いた記憶がある。そこには【正真正銘の、本物の、心からの、本当の、偽りのない、純粋な】とある。

 洗練された言葉が並ぶその響きから、理論も考察もない(引いては当然馬券すら買えないので「予想」という概念すらない)私は、レース前からジェニュインに注目していた。

 レースは好位を運んだ3番人気のジェニュインが、こちらも有力差し馬だったタヤスツヨシの猛追をクビ差退けての戴冠。見事クラシック第一弾を制して見せた。

 気になっていたジェニュインが勝ったのでもちろん興奮したが、この興奮は別の事象にも注がれていた。

 岡部騎手の動きだ。最終コーナーを曲がる際「持ったままで追っていなかった。」

 動いていないのだから「動き」という表現は間違いで、正確には「捌き」や「運び」と言った方が正しいのかもしれない。

 時代劇等の流れから、ガシガシ追うのが馬だと思っていた少年はまさにあの瞬間、「持ったまま」を知った。

 それ以降、「これが本物たる所以なのか」「追わない競馬(ペース配分・仕掛け・戦略)もあるのか」と探求心が増し、紆余曲折して今に至っている。

 ジェニュイン前後の社台ファーム(社台レースホース)馬たちの目覚ましい活躍と思い出はここには書ききれない程。

「黒と黄色の縦縞」と「持ったまま」。この牙城が長きに渡り、私の記憶にこびり付くことになったのは想像に容易いだろう。

 ただ、知ったことで純粋に嘘偽りなく周囲に宣言できたのもこの時かもしれない。「心から競馬が好きだ」と。

 さて今年の皐月賞…。

 今となってはレース毎に行っている作業だが、大牙城「社台グループ(ノーザンファーム生産)」とそれ以外の仕訳は当然の如く重要。過去を思い出したのも何かの縁、注目はノーザンファーム育成馬!?(多い…笑)。

 ジェニュインのような「本物」にふさわしい(と思う)馬は既に心に決めてある。

オオタケ 皐月賞予想

オオタケ

2011年頃からtwitterで呟き始めた“穴馬備忘録”が注目を集め、現在では變態馬券師組合理事長として中央・南関東競馬の予想を行う。一見は予想家も、本業は広告・コンテンツプランナーという異色の経歴をもち、フジテレビONE「競馬魂」や地方競馬生配信番組への出演、スポーツ紙・業界誌への記事寄稿と多岐に渡って活動中。馬の“持つ脚”を地層に見立て並べた予想ツール「脚層」の開発者。

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