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展望：
Sペース想定：外枠有利・先行〜中団有利
土曜の京都芝のクッション値は11.1。今年の京都で最も高いクッション値で開催されました。これにより、時計・上がりはかなり出るように。内回りは内枠先行馬が有利な水準になっています。
外回りは土曜日、Sペースの2レースしかありませんでした。内回りよりも直線が長くなる分、最後は外に出した方が良いのは間違いありません。
コンクシェルの逃げ濃厚で、続くのがブリンカー着用のハーパー。今年もSペースからの4〜5F戦になりそうで、馬場傾向からあまり深い位置からは届かないだろうと予想しました。

◎2.ライラック
本命を打った前走・府中牝馬Sは外枠から位置を取りに行ったことで折り合いを欠く競馬に。道中も一番外を回されるロス。あれでは伸びなくても仕方ありません。その点、今回の2番枠はベストではなくてもベターでしょう。馬を壁にして運ぶことができます。
今年の春は馬体が減ってしまい、状態面も良くなかったのでしょう。前走で大きく増えてきたのは好材料。陣営は前走時から「春とは状態が違う」と強気です。
昨年の府中牝馬Sでは上がり33.0秒の過去最速上がりをマーク。いよいよ本格化したと評価していました。
その後のエリザベス女王杯は外枠で位置を取れず後方から。展開不向きながら上がり最速で4着に食い込みました。
今回の問題は陣営の作戦。
ペースの流れた前走の府中牝馬Sやヴィクトリアマイルで位置を取りに行っています。今回、ある程度の位置を確保してくるはずです。陣営は「真ん中くらいの枠が理想だったが立ち回りひとつだろう。直線は外へ出してほしい」と述べており、序盤インで立ち回り、終盤で外から位置を押し上げていくのがベターか。これまでの経緯からも、そういう競馬をしてくれるだろうと予想して、今年も本命を打ちます。

○12.シンティレーション
前走・府中牝馬Sは1000ｍ通過58.7秒のHペース。五分に出て後方待機。L2は11.4-11.0の加速＆余力ラップで、最後は抑える余裕のあったブレイディヴェーグとの差を詰めていました。本馬は終い10秒台で上がっています。これなら2200ｍも問題ないはず。また、1.44.9で走りながら終い10秒台を使えていることからも力は本物です。
前々走・新潟日報賞はインベタの競馬。こちらも1.44.1の超好時計で勝利。2着馬が差し損ねた感は強いですが、その2着トロヴァトーレも重賞級の馬。
本物。トム・マーカンド騎手は馬を動かしていくタイプ。前々走・和田竜二騎手も似たタイプで、不安にはならないでしょう。
比較的位置は取れるタイプ。12番枠なら途中から位置を押し上げるのも容易なはずで。

▲7.レガレイラ
前走・ローズSは出遅れて最後方から。1000ｍ通過60.3秒と特別速くないのに大逃げに。差し馬は展開の不利が大きく、届かなかったのも仕方ありません。終いは猛追しており、脚を余した感が強い。
前々走・日本ダービーは1000ｍ通過62.2秒のSペースながら、L5が56.8秒という史上に残る速いラップに。時計はさておき、レースレベルは高かったと言えるでしょう。スタートは出ましたが、行き脚が付かず後方から。直線は外に出すロスがありながら上がり最速で5着入線。
坂の下りで勢いを付けられる京都は合っていそうで、間に合うかどうかがカギ。陣営は「この中間は踏み込んだ調教を行い、策も講じていますし、鞍上もある程度のポジションは取りにいくと思います」と述べています。それならば、馬券内の確率が高いだろうと見ます。

☆4.コンクシェル
Hペース型の逃げ馬でしたが、比較的緩いペースでも逃げるようになってきました。テンは遅めな馬です。
前走・府中牝馬Sは押してハナへ。1000ｍ通過58.7秒のHペースの逃げ。自分の競馬はできましたが、残り200ｍでハナを奪われるとそのまま失速。
前々走・クイーンSは初角までの距離が短い札幌芝1800ｍ戦。1000ｍ通過60.3秒なら比較的楽なペースでの逃げ。0.1秒差とはいえ、この展開で5着は少し物足りません。
今回、同型不在はプラス。
陣営は「噛んでいくタイプではないので、距離は問題ないと思います」と述べています。中京マイルのレコードに0.1秒差だった1勝クラス勝ちから高く評価している馬。
超Sペースに落として後半4F戦にすれば、今の馬場ならあり得ると見て。

☆8.シンリョクカ
前走・新潟記念はアリスヴェリテの離し逃げを追いかける2番手。3番手以下を引き離しており、良い位置だったと思います。上がり勝負では見劣りするので、上がり34.4秒で勝てるレースになったのが良かったと言えます。1.58.0は速いとはいえ、今年は馬場が良かったので価値は高くないでしょう。
前々走・福島牝馬Sは前の馬に躓いて落馬。
3走前・中山牝馬Sは600ｍ通過が37.4秒という超Sペース。外差し馬場だったので、コンクシェル以外が主張しなかったのがその要因でしょう。インをロスなく立ち回って3着。1.2着馬とは伸びないところを通した分か。
昨年のエリザベス女王杯は中団インに付けましたが、徐々に位置を悪くしてしまいました。外を回されて展開も不利でしたが、最後まで脚は使えていました。
今年はしっかりと先行してくるはず。早めに仕掛けて上がり勝負にしなければ、残せる可能性十分で。

☆17.コスタボニータ
上がりに限界のあるタイプの先行馬。
前走・府中牝馬Sは1000ｍ通過58.7秒のHペース。差し馬台頭の流れで失速しました。
前々走・小倉記念は重賞としては小粒なメンバー構成。1000ｍ通過57.6秒の超Hペース。大逃げの2番手に付けました。超高速馬場＆恵まれやすい位置とはいえ、先行負荷は高かったはず。1.56.6の走破時計で2着に残したのは立派。
3走前・マーメイドSは出遅れた瞬間に終わったと思いましたが、上がり3位の34.3秒はマーク。
コンクシェルがSペースで逃げて後半4F戦にすれば、恵まれる可能性があると見て。

以下は無印の馬について。

1.ホールネス
前走・新潟牝馬Sは小粒なメンバー構成。1000ｍ通過58.9秒のHペース。途切れ途切れの馬群で、中団絶好位。直線で外目に出すのもスムーズで、好騎乗もあっての勝利。時計・ラップ平凡で、ここを勝ったからG1でどうにかなるものでもないはずで。
前々走・マーメイドSはアリスヴェリテの大逃げで1000ｍ通過58.3秒のHペース。中団から運び、展開に恵まれての3着。2着エーデルブルーメが自分から早めに前を捕まえに行ったのとは対称的に、こちらは反応が悪く加速に時間が掛かりました。この点からも京都外回りは合っているはず。陣営も「京都の外回りも合っているからね」と、一度も経験がないにもかかわらず述べています。
これまで高く評価できるレースがないのが不安すぎて。今の馬場なら33秒台の上がりは使えるはずですが、血統面からも時計の掛かる方がベターなはずで。
3.ルージュリナージュ
前走・府中牝馬Sはいつも通りの後方待機策。上がり32.9秒で、2着のシンティレーションとは0.3秒差まで追い詰めました。
前々走・エプソムCは高速持続戦で、縦長馬群になったので差し馬不利。直線は外から伸びてはいましたが、前と脚色がほぼ同じ。差が詰まりませんでした。
3走前・ヴィクトリアマイルは出遅れて最後方から。800ｍ通過45.4秒という超ハイペースになったので、展開が向いたとはいえ、上がり最速で5着。G1だったことを考えれば上々の結果でしょう。
2000ｍまではこなせていて、今回はSペースになりやすい京都芝2200ｍ。おそらく距離は持つはず。問題は追走面。後方からになることはほぼ確実で、その前に末の切れる馬がいる以上は届かないと予想します。
5.モリアーナ
年内で引退という話で、ここが引退レースになる可能性も。
前走・府中牝馬Sはすぐに下げて後方イン。1000ｍ通過58.7秒のHペースで、位置は悪くありませんでした。残り200ｍからは伸びで見劣りしており、鞍上は「1600メートルの方が良さそう」と述べていました。
前々走・クイーンSは出負けして後方から。ドゥアイズの後ろから追い上げ体勢に入りましたが、逆に離されてしまいました。外目を回された挙げ句に初角でハミを噛んだという話です。武藤雅騎手に手が戻ることを危惧しましたが、上手く乗れなかったのは確かでしょう。
2200ｍがカギ。
2200ｍのAJCCはL2が12.5-13.1と大きく失速しており、差し馬有利の流れ。鞍上が上手く折り合いを付けて、L3付近から伸びる外目に出す好騎乗。
本質的には適性外で。
6.ピースオブザライフ
芝では時計の掛かる馬場で未勝利を勝っただけ。
速い上がりに対応できないタイプで、久しぶりの芝がG1ではさすがに買えません。
9.キミノナハマリア
前走・札幌日経オープンは先行有利な展開。終いまでよく伸びていて悪くない内容でした。距離を多少危惧しましたが、全く問題ありませんでした。
前々走・五稜郭Sは3角後半から一気に仕掛けると最後まで脚色衰えず、2馬身差の完勝を収めました。とっくにオープン入りしていておかしくなかった馬がようやくのオープン入り。
3走前・福島牝馬Sは6番人気8.2倍に推されていました。落馬の煽りを食らっての惨敗で度外視。
4走前・飛鳥SはL2が11.1-11.3の余力ラップ戦で、1着エアサージュ、2着ニホンピロキーフ、3着リフレーミングは全て重賞で結果を残している馬。結果的に相手が強すぎたと言えるでしょう。
5走前は6馬身差の圧勝。当時の京都は武豊騎手の庭と化していました。
時計の掛かる馬場の方が良いタイプなので、今回、時計が出る馬場になったのはマイナス。今回、武豊騎手が乗らないのも懸念点で。
10.エリカヴィータ
前走・新潟牝馬Sは1000ｍ通過58.9秒のHペース。再ブリンカー着用で先行策。最内枠も位置取りも不利。インをロスなく回って0.7秒差6着。新潟牝馬Sはメンバーレベルが極めて低く、ここで負けているようでは……。
前々走・クイーンSは位置を取りたかったそうですが、ブリンカー外しで行き脚が付かず最後方からに。ジリジリと伸びただけで。
11.スタニングローズ
前走・クイーンSはスムーズに先行。4角では手応え抜群で2番手まで浮上しましたが、そこから伸びず。逃げたコンクシェルも捕まえられませんでした。
長期休養明けの3走前・大阪杯は1000ｍ通過60.2秒の逃げ。G1としては小粒なメンバー構成で、先行有利な展開。残り200ｍ過ぎに捕まるとズルズルと失速。
長期休養明け以降、かつての力を出せておらず、衰えは隠せないか。鞍上のクリスチャン・デムーロ騎手はプラスですが……。
13.サリエラ
前走・オールカマーはスタート後に3番手を確保。無印でしたが、この時点で「やられた！」と感じるくらいの好位置から競馬を運べました。Sペースで先行馬圧倒的有利なレース。不可解な惨敗で、中身ができていなかったか。昨年の新潟記念も不可解な惨敗をしており、よく言われているように内枠は良くないのでしょう。天皇賞（春）も最内枠でした。
昨年のエリザベス女王杯は内枠の先行馬が恵まれたレース。外の後方から長く良い脚を使って0.3秒差の6着。負けて強しの内容でした。
今年は展開に恵まれそうだと考えていたのですが、土曜が想定外の高速馬場に。位置を取るにはもっと内枠がベターだったはずで、今年も後方から届かないと見て。
14.ハーパー
前走・府中牝馬Sと3走前・大阪杯は鞍上も敗因が掴めないという話。
前々走・ヴィクトリアマイルは行き脚が付かず後方から。鞍上は「昨年のいい頃の状態にまだ届いていない印象ですし、マイルは現状忙しいかもしれません」と述べていました。
ここ3戦、力が足りないと見て切っていますが、それにしても負け過ぎだと思います。精神面の問題もありそう。
昨年のエリザベス女王杯は内枠の先行馬が恵まれたレース。上がり34.8秒で3着に残せる展開になったのが味方しました。
今回、ブリンカー着用で武豊騎手が騎乗。怖さはありますが、昨年は恵まれて好走したと見ている馬。ブリンカーで復活したとしても厳しいという見立てで。
15.ゴールドエクリプス
前走・マーメイドSは鞍上が「3〜4角で手応えがなかったです。こんなに負ける馬ではないはずですし、原因がよく分かりません」と述べていました。
オープン入りしてから結果が出ておらず、昨年に関しては鞍上が「4角から直線にかけて失速してしまったあたりは、距離の影響があったようです」と述べていました。
今年も距離面が大きなカギで。
16.ラヴェル
前走・オクトーバーSは1000ｍ通過58.3秒のHペース。縦長馬群に。外目を回されるロス。直線は伸びてきましたが、最後は前と脚色が同じに。速い上がりに対応できないタイプ。上がり34.0秒で届かないレースになってしまいました。
前々走・マーメイドSはアリスヴェリテの大逃げで超Hペース。中団インで、直線は3番手に浮上。最後は外から2頭に交わされてしまいました。
今年の京都記念は外差し馬場。ペースアップが遅くなったレースで、外から追い上げたものの0.5秒差の5着まで。
雨でも降れば……と思っていただけに、土曜の高速馬場はマイナスで。

L2は後半2F・ラスト2Fを意味しています（Lはラストの「L」になります）。2Fまとめて24.0秒などと記すこともあれば、12.0-12.0のように1F毎に記す場合もあります。L5やL4も同様です。