京都芝3200mの舞台条件で施行されるG1天皇賞春と、阪神芝3000mの舞台条件で施行されるG2阪神大賞典とでは、距離や格付けなどは近しいレースとはいえども実際のレースの中身やレースの性格についてはまるで異なっており、端的に言えば天皇賞春では“前残り”が能力通りに決まらない時の波乱パターンなのに対して、阪神大賞典では“前崩れ”が能力通りに決まらない時の波乱パターンという正反対のレース傾向となっています。
それを生み出している背景としては、阪神大賞典はスタミナ要素が極めて強く要求されるレースになる為に、一般的にはメリットになる位置取りの高さも、むしろ追走によりスタミナを削ぐデメリットとして作用する側面の方が大きくなるということが考えられます(天皇賞春はそれと逆のことが言えます)。
過去にさかのぼって振り返ってみても、阪神大賞典を4角5番手以下から差す形で好走した馬は本番天皇賞春では近14年で14頭中1頭しか馬券に絡めていないというのも、後方有利の阪神大賞典と前有利の天皇賞春の関係性を如実に表しています(逆に阪神大賞典の先行好走馬の多くは天皇賞春でも好走しています)。
前半1000m64.9秒→後半1000m57.9秒(後傾7.0秒)という超が付くほどのスローペースで流れた昨年はイレギュラー的な前残りの決着となりましたが、あくまでも山を張るべき大多数の回は“前崩れ”の方と見ます。
それらを踏まえた上で差し馬のテーオーロイヤルを本命馬とします。
超長距離重賞ではダイヤモンドS1着・天皇賞春3着・ステイヤーズS2着・ダイヤモンドS1着というパーフェクト成績で、しかも直近の2走は前有利の展開を差す形の強い競馬でした。
長距離適性が問われるレースではない京都天皇賞春では他に付け入る隙があるでしょうが、長距離適性が問われるレースの阪神大賞典であれば信頼の置ける一頭と言えますし、有利な差し脚質馬であるという点も強調点となります。
相手は日経新春杯好走組で能力上位双璧のサヴォーナとブローザホーンは必須ですが、サヴォーナは近走で前掛かりのレースを続けている点で、ブローザホーンは道悪巧者だけにまともな良馬場替わりという点で他にも付け入る隙がアリと見ます。
そこに食い込み可能性が見出せる馬としては、阪神大賞典の穴パターンの追い込み馬のプリュムドール、上がりが掛かるレースに限っては近走も崩れていないディープボンドも展開次第では浮上してきそうです。
公開日時:2024/03/16 15:59