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【有馬記念】血統から見出した「展開がハマった際の大穴候補」

2021年12月22日(水) 18:00

　中山競馬場は直線が短いため、基本的に先に行った馬が有利なコースです。そのためペースが上がりやすく、バテることなく一定のスピードを維持できる能力が求められます。師走開催は馬場が荒れやすいため、ヨーロッパ的な重厚さも重要な好走条件となります。

　有馬記念は中山芝2500mが舞台。①スタミナ、②一定のスピードを維持できる能力、③ヨーロッパ的な重厚さ。この3つを備えた馬が好走しやすいレースです。東京コースとは違ったタフなコース設定なので、スピードと切れ味を武器とするアーモンドアイでさえ、持ち味を発揮できず大敗してしまう難しさがあります。ロベルト、サドラーズウェルズ、トニービン、といったヨーロッパ系の血は、①②③の特長をサポートします。

・エフフォーリア

　父エピファネイアはスタミナ豊富な種牡馬で、デアリングタクト、サークルオブライフなどの父。距離が延びて良さを発揮する仔が目立ちます。今年の菊花賞では産駒が2、3着となりました。中山芝2500mは出走サンプルが少ないものの2戦2勝。父は現役時代に有馬記念で5着と敗れましたが、珍しく瞬発力勝負となった年であり、ラストで切れ負けしてしまいました。その父シンボリクリスエスは有馬記念を連覇し、二度目の制覇では後続を9馬身引き離してレコードタイムを樹立しました。このレースに強いロベルト系に属し、サドラーズウェルズとトニービンを併せ持つという有馬記念御用達の血統構成。同じ中山で距離が500m短かった皐月賞では後続に3馬身差をつけて楽勝しています。

・ディープボンド

　最下位に敗れた前走の凱旋門賞は、悪化しすぎた馬場が敗因。ラスト300mは勝負を諦めて流していたので、反動はないでしょう。「母の父キングヘイロー」は、2021年を代表する血統的なトレンドで、ピクシーナイト、イクイノックスをはじめ多くの重賞勝ち馬が出ました。中山芝では2戦していずれも大敗していますが、本格化前でなおかつ距離が2000mと短く、ステイヤーである本馬にとって能力を出し切れない舞台でした。阪神大賞典1着→天皇賞・春2着と、阪神内回りの長丁場で連続好走したことは、似たような舞台である有馬記念での大駆けを予感させるものです。この馬向きの馬場であれば、フォワ賞のようにヨーロッパの強豪をも蹴散らすだけの実力があります。

・アサマノイタズラ

　この馬も「母の父キングヘイロー」。父ヴィクトワールピサは現役時代に有馬記念を勝ちました。2代母の父オペラハウスはサドラーズウェルズの仔で、産駒のテイエムオペラオーは有馬記念の優勝馬です。今回の有馬記念はタイトルホルダーとパンサラッサという2頭の逃げ馬がいるため、片方が控えるにしても、よどみのないペースになることが予想されます。本馬は後ろから行く馬なので道中のペースが上がるのは歓迎。セントライト記念を勝ち、スプリングSで2着となったように、中山コースは合います。スローペースだった前走の菊花賞は動くに動けず、4コーナー最後方でしたが、直線では差を詰めていました。展開がハマった際の大穴候補です。

　凱旋門賞帰りのクロノジェネシスは、パリロンシャン競馬場の道悪をゴールまで目いっぱい走った反動があるのかないのか、追い切りの気配に注目です。調教や馬場状態を見極めた上で最終結論をご提供します。