安田記念は、ヴィクトリアマイルと比較するとわかりやすいが、牝馬限定のヴィクトリアマイルは中盤が緩んだ瞬発力勝負になりやすく、好走馬は一瞬でトップスピードに乗れるような馬。一方の安田記念は牡馬混合ということもあって中盤が緩まずに、瞬発力に加えて持続力も求められる。速い流れのなかからさらに脚を伸ばせるタイプのほうがいい。公式ブログ( http://keibat.blog.fc2.com/ )でも話したが、速い流れを追走してさらに脚を伸ばすという、言ってみればスプリント的な要素、脚の使い方が求められる(もちろんスプリンターである必要はない)レースだ。
これを大前提に、まずは人気馬の本命◎アーモンドアイ。この馬にとってはその大前提すら関係のない馬で、今さら同馬の強さに言及するような野暮もやめておく。一点だけ、去年は△評価としていたが、当時は出遅れリスクがあり、さらに明らかに不利だった外枠に入ったのを勘案してのこと。今回は、前走のヴィクトリアマイルで素晴らしいスタートを切っており、成長した姿を見せている。競馬だけになにかある可能性はゼロではないが、大きな不利なく回ってくることを前提にすれば、適性、能力からしても同馬に本命を打つことになる。
一方、穴馬の本命には◎グランアレグリア。昨年はNHKマイルCでミソがついたものの、立て直した阪神Cを文字通りの圧勝。さらに明らかに距離が短かった高松宮記念で追走に手間取りながらも3着に追い込んできたのは、高い能力とスプリント指向のなせる業だ。今回は約1年ぶりとなるマイル戦だが、先述したようにマイル戦らしいマイル戦ではなく、スプリント的要素の求められるマイル戦。距離適性も含め、前走よりもパフォーマンスを上げてくるのは当然と言えよう。前日の最終オッズで3番人気と、穴馬と呼ぶには物足りないのは謝るしかないが、それでも穴馬の本命に推すべき馬だと判断させていただいた。
通常は評価に入れていない単穴▲にはインディチャンプ。昨年の春秋マイルG1の覇者で、安田記念がスプリント的、マイルCSがマイル的という性質の違うG1をそれぞれ勝ち切ったのは非常に高く評価できる。前走のマイラーズSを見ても、マイル路線組のなかではアタマを張れる存在ではあるが、上記2頭とは切れ味の点で差があるという判断に基づき▲評価とした。
△ダノンキングリーは近走のG1ではチグハグな競馬となってしまっているが、ダービーでかなり長い脚を使って勝ち馬を追い詰めた点からも、速い流れからの加速は得意なタイプ。マイルCSは初輸送と伸びない内を通ったこと、前走の大阪杯はスタートが良すぎて逃げる展開になってしまったことが敗因で、決して能力的に足りないわけではない。内枠を利して中団前めにつける競馬ができれば、マイルでも好走が期待できる。
△アドマイヤマーズも緩急のつくマイル戦では割り引きが必要なタイプで(毎年スローの富士Sは凡走で当然)、今回、締まった流れになるのは大歓迎のクチ。早め先頭から勝ち切るくらいの強気な競馬ができれば馬券圏内は十分にあり得る。
穴馬としては△ミスターメロディが面白い。1400mのスペシャリストだが、向かない流れ(瞬発力勝負)になってしまったNHKマイルCでも、切れ負けしたとはいえ4着に好走。速いスピードを維持する能力に長けたタイプだけに、このレースへの適性はある。馬券に入れて面白い一頭だ。
無印にした馬にも触れておくと、ダノンプレミアムはマイル的(緩急のついた瞬発力勝負の)マイル戦に強いタイプ。能力は高く、枠も恵まれたが、妙味も含めて消し。ガシガシ追うタイプが合うレーン騎手も合わないと思う。
前哨戦の京王杯SCを勝ったダノンスマッシュは、いわゆる二番が利かないタイプで、同馬の好走は休み明けか、2カ月ほどの間隔のあけたレース。前走から中2週はマイナスという判断だ。
公開日時:2020/06/06 20:48